小線源+外照射│東京医療センター 渕浪

前立腺がん治療を経験された方の体験談 渕浪敏明 さん

 初めまして、千葉県君津市在住の渕浪敏明と申します。1950年生まれ、現在67歳です。2015年末(12月28日)に初期の前立腺ガンが発見され、現在、東京の東京医療センターに通って、放射線治療後の経過観察中です。

 実際の治療は2016年5月半ばに3泊4日の入院で、小線源内部照射を、7月、8月の5週間入院して、放射線外部照射の治療を行いました。
詳しい経過は、おってゆっくり説明させていただきますが、まずは、簡単に自己紹介をさせてください。

 私は岡山県備前市に生まれ、高校は岡山市、大学は京都市で過ごし、就職は新日鉄で、主に工場の制御用コンピュータの開発に従事していました。転勤も何回かあり、君津から北九州、君津、山口県光、君津と移動し、ある事情で49才のときに、新日鉄を中途退社しました。以後は個人事業主として、個別のソフト開発の仕事をしてきました。

 60才頃になり、林住期(定年退職後の人生)をいかに生きるかを、模索しておりました。趣味は読書、将棋、プロ野球のホークス応援といったところでしょうか。最初、自分の林住期プロジェクトとして「将棋ファン拡大プロジェクト」に挑戦しましたが、どうもうまくいかず、次に「読書ファン拡大プロジェクト」にも挑戦しましたが、これもうまくいかない。そういったところで、私が前立腺ガンになったのです。

 すぐに前立腺ガンの話に入る前に、それまでの私の主要な病歴をご紹介したいと思います。11年前に急性膵炎で緊急入院し、一時命も危ないときがありました。最初の2週間ぐらいは、非常に痛みが強く痛み止め注射もほとんど利かず、苦しかったです。原因はハッキリしませんが、私の膵臓には膵石が多くあり、正式病名は「慢性膵炎の急性増悪」というものです。
 7年前には、胆のうの石と膵臓の石が飛び出て、詰まり、腹痛を起こして合計6回も入院しました。3回が胆のう、1回が膵臓、5回目は胆のう除去手術(開腹)、6回目は外部衝撃波で膵臓の石を砕いて除去しようとしましたが、私の石(意志???)が固くて、先生がアキラメ、先生からは「渕浪さん、膵臓の石はそーっと墓場まで持って行ってください」と言われております。この6回の入院中の主治医が君津中央病院の藤本先生で、非常に信頼でき、尊敬もしております。退院前日には、今回の処置の経過を詳しく説明してくださり、私からの質問にも丁寧にお答えくださいます。私は、この先生に私の消化器をあずけようと思いました。

がんが見つかったきっかけは?、また、どんな治療を勧められましたか?

 では、本題の前立腺ガンのお話にいきましょう。
2006年君津市のPSA検査で2.77となり、君津中央病院泌尿器科で検査し、エコーで問題なしと判断される。2010年、PSA=6.299、 2011年、PSA=7.201、9.9 となったが、医師は前立腺肥大があるのでこの程度は問題ないだろう、定期的にPSA検査し、10を大きく超えたときに受診しなさい、と言われた。<これは、今から考えると問題で、ここで少なくとも針生検すべきだったと思われる>
 以後、消化器で半年毎に血液検査でPSAを測定していたが、2014年にPSA=13.45となり、藤本先生から泌尿器へ行くよう指示される。自分の怠慢で泌尿器にいかず、2015年にPSA=18.4となり、あわてて泌尿器へ。針生検を勧められるが、どの病院にするか迷っていると3ヵ月後にPSA再検査して決めることになった。またPSA=19.3なので、千葉大学病院で針生検することにした。

 千葉大学病院では、触診とエコー検査、MRI検査を実施し、PSA=15.54。2015年12月11日から1泊2日で針生検。12月28日に結果を聞きにいくと、8箇所中1箇所でガン発見、グリソンスコアは3+3=6、RIとCTで外部転移は無し。

 これ以降は、約2週間で治療方針を決めるまでの、猛勉強をドキュメンタリー風に記述する。

ガン告知されたとき、私の場合は、ショックを感じる暇もないほど、スイッチが入りましたね。これは、一大事だ。ここで選択を誤ると、命も危ない。(息子?の命も危ない(笑))

年末の12月28日にガンを告知され、1月14日までに、方針を決めなければいけませんでした。もし、主治医がヤブで、僕が勉強不十分だったら、主治医のイイナリになり、一生後悔をするかもしれない。2週間、猛勉強しましたね。こんなに必死になったのは、生まれて初めてです。インターネットで調べまくり、本も読みまくり。

それで、僕のような初期の前立腺内にとどまっている前立腺ガンには、前立腺内に小さな放射線を埋め込む小線源内部照射が一番いいとわかりました。これは、ヨウ素を埋め込むのですが、放射線の到達距離が5mmまでと、外部に弊害を与えず、かつ前立腺内の局所ガンは壊滅させる、優れものなんです。
ただ、この治療を正確確実に出来る病院は、全国でも数少なく、関東では、東京医療センターと調べつくしました。

千葉大学病院に通っていたのですが、2016年1月14日いよいよ治療方針を決める日です。先生から一通り説明をうけたあと、すぐに、小線源内部照射がいいのですが、 と言うと、先生は、では、うちには小線源内部照射のA先生がいるから、来週診察してもらいますかね。
すかさず、こちらの病院の小線源内部照射の実績はどの位ですか?と聞きました(非常に少ないと、事前に調べつくしていたので)。先生は(予想通り、)非常に少ないです、と答えられました。う~ん、という顔をすると、 治療実績が多い病院となると、都心までいかないとないですが、それには、全然かまいません、と答えると、どこかご希望の病院はありますか?と聞かれたので、すかさず東京医療センターがいいです。そこまでお調べなら、すぐに紹介状を書きましょう、来週取りにきてください。

以上が、主な顛末です。何事も準備が大事ですよね、なにせ自分の命がかかっているのですから。
自分の命は自分で守る、、、これが鉄則です。大学受験時代の10倍も必死で勉強しました。
今まで、だらだらと生きてきたので、久しぶりに大学受験時代を思い出しました。また、まだまだやればできるじゃない、と自信も深めました。

このようにスムーズに短期間で方針が決定できたのも、腺友倶楽部の諸先輩の皆さんの有益なアドバイスがあったからだということは、いくら強調してもし過ぎるものではありません。

東京医療センターの斉藤史郎先生の診察を受け、内部照射+外部照射となる。2016年2月3日には静脈性腎盂造影(IVP)検査と前立腺超音波検査を受けました。

今回、自分が前立腺ガンになってみて一番感じたっことは、私の場合、タマタマ早期に腺友倶楽部を発見し、相談できたからいいようなものの、パソコンが使えないなど情報格差のあるシニア層の人達にとって、有益な情報の入手が簡単ではないように思う。そういう場合、医師のいいなりになって、不本意な選択をしたと、後で後悔することもあるのではないか? そのような人達をこの素晴らしい腺友倶楽部に道案内するような仕組みがうまく、できないものか。前立腺ガンだけでなく、他の病気でも、同じことである。医療分野に限定しなくても、いろんなニーズとシーズを結びつける道案内人(ブリッジ役)の必要性が、これからの情報時代、より大きくなってきたと感じる今日この頃である。このあたりの貢献に一役かうような林住期のプロジェクトを、今模索中です。

 PSA:15.54
 グリソンスコア:3+3=6
 陽性率: 12.5%(生検 8本中陽性 1本)
 T分類:
 診断時年齢: 65歳
 触 診: 異常はありましたか?特になし

あなたは、どの治療を選びましたか?

東京医療センターの斉藤史郎先生。
小線源+IMRT。
患者情報のアドバイスと、インターネットと本の勉強より決定。

治療後の経過、感想など自由にお書きください

PSAは徐々に下がってきている。
2015/11/16 15.54
2016/1/27 29
2016/3/30 3.16
2016/8/31 3.31
2016/11/2 4.21
2017/4/19 1.83
2017/7/12 1.69

差し支えなければ、男性機能はどうなりましたか?、教えてください。

男性機能は、射精が全くできなくなった。快感が途中で中断して、不満足。


渕浪敏明

インタビューへの回答 ありがとうございます
PSAが上昇した時、どのくらいの値で生検を受けるのを勧められるかは、担当医によって随分違いますね、渕浪さんの場合は結果的にPSA18.4まで待つことになってしまいました。それでも生検時のPSAは15.54、陽性コア数 8本中 1本、グリソンスコア6ですから、初期で見つかって幸いでした。
癌と言われた時、医師の言葉を絶対だと思わずに、自分自身でも治療法を探すことが肝心だと思いますが、それがなかなかに難しいですね。
渕浪さんは、癌だけでなく、さまざまなことにアクティブに取り組まれています。フェイスブックでは公開グループ「雑談未来カフェ」の管理人をされているとのことです。

重粒子線しかないと思った、栃木71歳KY

前立腺がん治療を経験された方の体験談 K.Yさん71歳

がんが見つかったきっかけは?、また、どんな治療を勧められましたか?

毎年、市の健康診断でPSAを測っていました。ずっと3くらいの値でしたが、昨年の健康診断でPSAが3.5になったため獨協医大を受診しました。獨協でPSAを測ったところPSAは4になっていおり、触診では肥大はあるものの、硬さは問題ないとされましたが、自分から生検を受けることを希望し検査入院をしました。その結果「前立腺がん」と診断されました。

担当医からは、放射線の新しい機械が入るから放射線外照射もできる。または、ロボットも良いという話でした。

それを聞いて、あなたはどう思いましたか?

ネットで調べたところ、摘出手術では成績が良くないと知っていました。担当医は初診の時とは別の医師でしたが、重粒子線を希望していると伝えると、再度、この病院にはロボットもあるし放射線治療システムもある、福島の陽子線治療ではどうですか?と勧められました。

 PSA:4
 グリソンスコア:
 陽性率:15%(生検 20本中 陽性3本)
 癌の部位:両葉(右2、左1?)
 T分類:
 診断時年齢:71歳
 触 診: 異常はありましたか? ない

治療法に悩みましたか、実際にどんな治療を受けましたか?

治療法には悩んでいません。ネットで検索し放医研の重粒子線しかないと思しました。自分の決断に自信があったためセカンドオピニオンは受けることは考えませんでした。

担当医からは「お金かかる、保険には入っていますか?」とも聞かれましたが、私は「お金に糸目をつけない」と伝えたところ、渋々という感じで放医研への紹介状を書いてくれました。

放医研で重粒子線治療
獨協ではステージ1と言われましたが、放医研ではステージ2という診断でした。
治療前の5ヶ月くらい前からホルモン治療を受けましたが、前立腺肥大の縮小のためという説明を受けています。ホルモン治療は重粒子線治療と同時に打ち切りになりました。ホルモン治療の影響はまったく感じたことはありません。
放医研でに入院したのは2016年1月です。
重粒子線治療に先立って体の下に入れるための型を作りました。重粒子線治療は15分くらいですが、実際の照射時間は1分強くらいだと思います、ごーっという音がしますが、痛くも痒くもありません。照射時は専用の下着でした。照射は1週間あたり4回、合計12回のため3週間かかりました。重粒子線治療の8,9回目あたりから頻尿の症状が出てました。入院中はお酒は禁止、コーヒーもだめです。昔は16回の照射であったそうです。

治療後の経過、感想など自由にお書きください

世界の最先端の治療法は重粒子線であると思ったので、放医研に決めました。重粒子線は兵庫にもあるが技師がいないらしい。大分にもあるけどね・・

治療を決めたのは以下のような理由です
●手術だと尿漏れなどの合併症が出るので放射線治療を選んだ。
●放医研は99.9%治ると言う。
●10年で再発がいない、という??

治療後の経過は、特に気になることはありません、ただし5月まで頻尿が続きました。


栃木K.Y 71歳


インタビューへの回答 ありがとうございます.

この回答は、実際に話していただいたものを、こちらでまとめたものです。
 ※ 文中に「放医研は99.9%治る」、「10年で再発がいない」とありますが、実際にそのようなデータは開示されていませんから、担当医あるいは関係者の期待を込めた発言の可能性が高いと思われます。

重粒子線は理論的には非常に優れている

重粒子線は、最先端の技術であることは確かです。また、従来の放射線治療は体表面では強く作用し、深いところでは弱まるのに対して、陽子線は深いところにエネルギーのピーク(ブラッグピーク)を作ることができるため、理論的には非常に優れていると感じます。ただし照射方向を自在に変えるのは重粒子線の場合難しいようで、この時点では2方向からの照射だったようです。これに対してIMRTではガントリーの回転照射を可能としていますから、放射腺の形状の制御ではIMRT(VMAT)が1歩先にあるように思います。このため重粒子線が高精度に制御され前立腺癌だけに確実に照射できるかどうかという点において、その精度は通常のIMRTを超えるものとは思えません。

システムが高精度であったとしても、照射精度はそれ以外の要素で決まる?

というのは、粒子線や放射線の治療システムは、仮に1ミリ単位で非常に精度良く照射が可能だとしても、前立腺があるのはやわらかい人体の中であり、日によって前立腺の位置が数ミリ変わる、あるいは周辺臓器の影響で前立腺自体が少し変形することもあります。システム自体は高精度でも、この動きや変形に対して照射中に自動で追従することまではしていないため、照射精度は人の体の臓器の位置や形状の変化がどれくらいかによって決まってしまうと思われます。(前立腺は時間の経過と共に少しずつ動くため、同じ位置であることが期待できるのは2分程度とも聞きます。)

おもに直腸に対する必要のない照射の副作用が問題

これは照射直前の位置合わせをいくら高精度に行ったとしても、解決できる問題ではないため、現実的には照射範囲を数ミリ以上大きくするなどして照射範囲がけっして前立腺をはずれないようにしています。また皮膜外浸潤(その多くは前立腺の外側の数ミリ程度)に対応することも考えると、前立腺より数ミリ大きい範囲を照射する必要がありますから、この数ミリ以上のマージン領域が周辺臓器、特に直腸に対する必要のない照射となり、それによって起きる副作用を許容できる限界が、照射線量の限界となってしまいます。

放射線治療(重粒子線を含む)は一般に照射線量が高いほど根治性が高くなりますから、できるだけ高い線量を照射すべきですが、放射線治療における照射線量は「根治に必要な線量はどれくらいか?」で決まるのではなく、副作用を許容できる限界の線量で決まってしまう、という点が、放射線及び粒子線などの外照射に共通する点ですから、粒子線が放射線より格段に良い成績を出せるか、というとそれは難しいだろうと思われます。

小線源治療│静岡がんセンター 62歳Y.S

前立腺がん治療を経験された方の体験談 沼津Y.S. さん

がんが見つかったきっかけは何でしょう

父が前立腺がんでなくなったのと兄が前立腺がんで摘出手術をしたこと、それと術前の3年ほど前からPSAが5~6位の値だったので生検をしたところガン細胞が見つかりました。

PSA: 5.50
グリソンスコア:7(4+3)
年 齢:62歳
リスク分類: 中間リスク

どんな治療を勧められましたか?

全摘手術を勧められましたが、知り合いのアドバイスからIMRTを勧められました。検査した病院ではその設備がないので設備のある病院を紹介されました。
行ってみるとそこには設備はあるが、IMRTをするには位置決め等で時間がかかり患者さんをこなせなく当時の医療スタッフ体制ではできないと言われました。
そこでいろいろご意見を聞き小線源治療を受けることに決めました。
本当はグリソンスコア4+3の場合は小線源治療はできないと言われたのですが私のたっての希望と、担当の泌尿器科の先生それと放射線の先生との話し合いでしてもらえるようになりました。
小線源治療をして頂けるということでとても嬉しかったです

あなたが選んだ治療法は?

小線源治療はシードを65本ほど埋入しました。
駿東郡長泉町の静岡がんセンターで行いました。

その治療法に決めた一番の理由は何でしょう

私の友人(彼も前立腺がんでIMRTの治療を受けた)のアドバイスです。
3ヶ月に一度定期検査をしていますがPSAは上下を繰り返し現在3弱です。

PSAの推移

numazu-ys_psa

あなたからみなさんに伝えたいことがありますか。
差し支えなければ治療後の男性機能についても教えてください。

治療後の排尿障害とか無かったのですが、排尿治療薬か何かが原因でアレルギーに悩まされました。
幸い男性機能は失われていません。
PSAがなかなか下がらないのが気にはなりますが、担当の先生を信じています。
この治療を選択して良かったと思っています。

沼津Y.S.


インタビューへの回答 ありがとうございます。
お父さんだけでなくお兄さんも前立腺がんとなると、いつか自分もという不安がずっとあったに違いありません、大変でしたね。
PSAの推移をお送りいただきありがとうございます。放射線治療の場合はPSAバウンスもあり、すんなり下がるわけではないと聞きますが、まだしばらくは様子見ということでしょうか。治療後の排尿障害がなかったようですが、みなさんそれぞれなんですね。
男性機能についても書いていただきありがとうございます。「失われていない」と聞き同じ治療の私も元気がでます。

小線源単独療法│滋賀医大 愛知K

前立腺がん治療を経験された方の体験談 愛知60歳、KK さん

がんが見つかったきっかけは何でしょう

 市の健診で要精密検査となり、地元の総合病院で生検を受けがんが見つかりました。

検査結果
PSA: 7.9
グリソンスコア: 7(3+4)
陽性率: 30%(生検は10本中3本で陽性)
触 診: 大きさ、硬さとも異常なし
年 齢:60歳
リスク分類: 中間リスク

どんな治療を勧められましたか?

 地元の総合病院の先生からは、手術(開腹・ダビンチ)、外部照射、小線源治療の3つの治療法の概要とその先生の手術(開腹手術)の成績について1時間程度説明していただきました。手術後再発した場合は放射線治療が可能だが、その逆はできないので、手術の方が戦う武器が多いという言い方で、やんわりと手術を勧められました。
 この時点では、初診から約2か月経っており、自分なりに調べて、小線源治療を受けることに決めていました。

あなたが選んだ治療法は?

 初めて地元の総合病院を受けてから生検実施まで約3週間、その後がん確定まで約3週間あったので、この間に本やインターネットで治療法について調べました。

 治療の候補として、最初は開腹手術を考えましたが、ダビンチという遠隔操作の手術の方が体への負担が少ないことがわかり、手術ならダビンチでと思いました。
 粒子線治療は尿漏れの心配もなく体への負担がもっと楽だということがわかりましたが、前立腺は常時動いているので粒子線がきちんと当たらない場合があるとの話を聞いてやめました。外部照射は、健全な臓器への照射が避けられず、感覚的に嫌だったので最初から選択外でした。

 購入した本の中に「前立腺ガン最善医療のすすめ」という小線源治療に関する本がありました。それによると、手術の場合、摘出しても断端陽性であれば再発してしまう可能性があり、それは切ってみないとわからないとのことで、手術に不安を感じました。また、小線源治療は手術よりも体への負担が少なく尿漏れもないことから、この治療が最もよいと考えました。

 それからどこの病院で受けるかを決めるために、愛知県でその治療を行っている病院4か所、「最善医療のすすめ」の中で紹介されている病院から通院しやすい病院を3か所選んでホームページで実績等を調べました。
 その中で、滋賀医科大のホームページでは小線源治療に関する詳細な説明が記載されており、また一般的な施設に比べて線量が高いため再発率がきわめて低い旨の記載があったことから滋賀医科大で治療を受けることを決め、岡本先生にメールでお願いしました。
 なお、滋賀医科大についてはこのサイトの情報も大いに参考にさせていただきました。

その治療法に決めた一番の理由は何でしょう

 小線源治療を選択した一番の理由は、再発の観点です。医学的には手術、外部放射線、小線源治療ともに同等とされているようですが(※ 1)、手術の場合、せっかく大きな身体的負担に耐えても、断端陽性であれば再発する可能性があるということが一番の不安でした。また、小線源治療は体への負担が少ないこと(具体的には、体を切らないこと、尿漏れがないこと、入院期間が短いこと)も大きな理由です。

 治療は3泊4日で、2日目に線源刺入、3日目にカテーテル抜去でした。私の場合、カテーテル抜去後は自力で排尿できたにも関わらず、退院日の朝、尿が出なくなり、看護師さんに見守られながら自己導尿するはめになってしまいました。稀にあるようですが・・。

退院後は愛知県まで、家内と交代で車を運転して帰りました。退院後10日ぐらいは、股間が腫れた感じで座ると多少痛みがあり、またおしっこの勢いが弱くなりました。これらは放射線の影響ではなく会陰部から針を刺したことによる影響だと思います。3週間後くらいからおしっこが近くなったような気がします。また、勢いは弱いままでこのあたりは放射線の影響かと思います。
1か月後に2時間の映画を見に行ったところ、30分くらいで尿意を感じ心配しましたが、なんとか最後まで見られました。また、1か月半後にスキーに行きましたが、特に支障はありません。
 普段の生活に不便はありませんが、長時間トイレに行けないような状況は避けるようにしています。先生からは放射線の影響は治療後1年ぐらいで収まると聞いています。

あなたからみなさんに伝えたいことがありますか。
差し支えなければ治療後の男性機能についても教えてください。

 今の段階では滋賀医科大でこの治療を受けられたことに満足しています。将来のことはわかりませんが、何かあったとしても、選択した時点では最良の方法を選んだと考えています。

 男性機能については、治療後10日位は全く元気がありませんでしたが、そのうちに、朝立ちするようになりました。治療の結果、前立腺の細胞が精液を作らなくなると聞いていたので出してみましたが、出そうな感覚はあるものの何も出ず、変な感覚でした。
 このあたり、人によって大いに感じ方に差がある所ですが、「まあ、しゃあないなー」と思っています。

愛知県 KK


愛知県 KKさん、インタビューにお答えいただきありがとうございます。

 ※ 1 医学的には手術、外部放射線、小線源治療ともに同等
中間リスクまでならそう説明されることもあるんですね。じゃ、どの治療法を選んでも同じ治療成績なのかと言うと、医療機関ごとの技量のばらつきがありますから、そんなことはないわけです。

 小線源単独だと治療後の痛みや排尿への影響が強いようですね。私は外照射併用小線源のためか、小線源では気になるような症状はありませんでした。

男性機能についての話、ありがとうごいざいます。私も小線源手術からしばらくして、試してみたら同じでした。しかし、小線源手術後に服用を開始した薬、ユリーフ錠(4mg)の影響かもしれません。ユリーフは排尿困難を改善する薬として処方されているのですが、副作用として射精障害があるとされています。私はある程度排尿の障害が改善した段階で、その副作用が少ないフリバスに変えてもらいましたが、まもなく服用をやめたためその効果はわかりません。
不思議なことに前立腺摘出手術をした方でも、射精感があると聞きました。小線源の場合も時が経てば、そのうちいける、んじゃないかと思います。

小線源単独療法│滋賀医大 kickoff

前立腺がん治療を経験された方の体験談 kickoff さん

大阪53歳 小線源単独から1年10ヶ月

がんが見つかったきっかけは何でしょう

 自覚症状等は全くなく、人間ドックでPSA値の高値を指摘され、大阪の病院で生検を受け前立腺がんと診断されました。

検査結果
PSA: 4.89
グリソンスコア: 7(3+4) T2bN0M0
陽性率: 31%(生検13箇所のうち4箇所に癌あり)
年 齢:51歳
リスク分類: 中間リスク

どんな治療を勧められましたか?

 生検を受けた大阪の先生から複数の治療方法を説明頂いたあとに「手術の後に放射線はできるが放射線の後に手術はできない。癌に対する武器は多い方がよい。手術で切りましょう。」と言われました。その時は納得し先生にお任せするつもりでした。

あなたが選んだ治療法は?

 告知を受け一度はロボットによる全摘手術に決めていたのですが、やはり再発、尿漏れ、男性機能等について、不安で不安でしかたくなく数日間、家に閉じこもりインターネットで体験談等を読み続けていました。
 そんな時、滋賀医大のホームページを発見し、正直あまり期待せず岡本先生にメールしました。すると間もなく先生から返信を頂き、それから色々な質問をさせて頂きましたが、その都度丁寧に回答を頂きました。
そして、滋賀医大で小線源治療を受けました。

その治療法に決めた一番の理由は何でしょう

 滋賀医大岡本先生との何通ものメールのやり取りで、かなり心は小線源に傾いてはいたのですが、初診時に色々な説明をして頂き、体験者の方と直接お話しする場を設定して頂いたりし、かなり現実味を帯びてきていましたが、それより何より先生から「絶対に完治します」と心強いお言葉を頂いた事で心は決まりました。

小線源治療後のPSAの推移
2014年
  1月 小線源治療 (治療前 4.910)
  2月 5.273
  4月 2.893
  7月 2.989
  10月 2.106
2015年
  1月 2.510
  4月 2.080
  7月 1.493
  10月 2.001

バウンスを繰返し、中々1.0以下にはなってくれませんんが、岡本先生から「今のPSAは全然気にしなくてもいいですよ。5年後に笑える治療をしてますから。」とおっしゃって頂いてますから、気にしないことにしています。とは言え、下がった時はやはりうれしいですけどね。

あなたからみなさんに伝えたいこと

 小線源治療は治療中も痛み等は全くなく、治療後に会陰部の軽い痛みにより座る時には円座の座布団を使用しましたが、10日目ぐらいからは排尿も含め何の問題もありませんでした。その後も日常生活に大きな支障を伴うものは特にありません。

 小線源治療の侵襲は生検と変わりないと思います。私の場合は生検の方が治療後の副作用は大きかったです。生検後二日目に尿道カテーテルを抜いたのですが、その後数日間、排尿時に激しい痛みがあり、充分な水分補給どころか怖くて水分が取れませんでした。又、麻酔の副作用で今まで経験したことのないような頭痛にも悩まされ一週間寝ていました。
 この経験から滋賀医大での小線源治療におけるカテーテル抜去後に恐る恐る排尿したのですが、少し血尿があるものの全く痛くありませんでした。勿論、麻酔による頭痛もありません。たかがカテーテルと思われるかもしれませんが、先生が細かいところまでいかに患者の身になって治療して頂けるかの違いであると思います。

 生検の大阪の先生もセカンドオピニンの話をしてくださったり人当たりも良く好感の持てる先生でしたが、「手術のあとに放射線・・・・」「排尿時の痛み等副作用は人それぞれで違うから」等の言葉は非常に寂しい限りです。
 私の選んだ小線源治療が正解だったのかどうかは、今後の経過次第で分かりませんが、色々な情報から自分自身で治療方法を選び、治療して頂ける先生とめぐり合えたのですから後悔はないと思います。

kickoff

治療後の経過をお寄せいただきました 2018年1月28日

先日、小線源治療後4年目の検診に滋賀医大へ行ってきました。
PSAの数値は0.218と順調に低下しているとのことでした。
ここに至るまでには何度かバウンスを繰り返し、多少不安な時期もありましたが、その対度岡本先生から「今の時期のPSAの上下は関係ない。5年後に笑える治療をしているので問題なし。」と、いつも強く言って頂き、その言葉を信じ何とか安心して4年過ごせました。
本当に有難く思っています。
岡本先生の治療で私のように治療後も安心して過ごせる患者が増えることを祈るばかりです。

kickoff


kickoffさん、インタビューにお答えいただきありがとうございます。
「手術の後に放射線はできるが放射線の後に手術はできない」と言われると、どうしても手術に気持ちが傾きますよね。ロボットによる全摘手術は体の負担も少なく機能温存にも優れるとされますから、手術はどんどんロボット支援の方向に進むのでしょう。しかし私は手術自体の不安よりも”手術すれば本当に根治できるのかどうか”が一番不安でした。
 
kickoffさんは小線源単独治療ですね。PSAの推移を興味深く拝見しましたが、なかなか下がらないものなんですね、それでも気にしなくて良いという先生の言葉通りなんでしょう。
最後に、こちらの不手際で、たいへん掲載が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。

茨城筑波大 全摘から2年半で復活、65歳

前立腺がん治療を経験された方の体験談 古河市 Tさん

がんが見つかったきっかけは何でしょう

健康には普段から気をつけています。毎年人間ドックを受けていますが2012年秋の検診でPSAが5を超えていることがわかり再検査を勧められました。

そこでS市のJ医科大で精密検査を受けたところ、やはりPSAは5.6と基準値の4よりも高いことから生検を勧められ、その年の11月に2泊3日で生検を受けました。そして生検の結果がわかる日、診察室で医師の口から「残念でした前立腺癌です」という言葉で告知を受けました。前立腺癌って言われただけでもショックなのに、どうして「残念でした」がつくのか、余計だろうと思いました。

検査結果
PSA: 5.6
グリソンスコア: 7
陽性率: 
触 診: 
年 齢:65歳
リスク分類: 中間リスク

どんな治療を勧められましたか?

癌と診断されたあとの診察で、残念でしたの医師から「手術にしますかー、放射線にしますかー」と聞かれたのですが。その聞き方が「他人事」というか何か事務的な感じで、患者の気持ちをまったく考えていないような口調でした。これでは信頼するどころか、この病院でちゃんとした治療が受けられるのかどうかさえ不安になりました。J医科大は非常に優秀な学生が集まる大学として知られており、この地域では一番信頼できる病院だと思って診察を受けましたが、こんな残念な医師がいるようではダメ、他の病院で治療することにしました。

あなたが選んだ治療法は?

そこで、いっそ陽子線治療が良いのではないかと考え、筑波大学付属病院で診察を受けました。しかし筑波では、あなたの進行度で陽子線治療を受けるには先行してホルモン療法が3ヶ月間必要と言われました。しかし私はホルモン治療を受けるのがいやだったので陽子線治療はあきらめることにしました。
付属病院では、もう1つの選択肢の全摘手術を提案され、詳しい話を聞いたあと全摘手術を受ける決心をしました。

治療法:全摘手術(開放)
    神経温存
術後PSA:0.007 安定
医療機関:筑波大学付属病院
手 術:2013年3月

その治療法に決めた一番の理由は何でしょう

陽子線治療は男性機能を温存できると聞いていたので、本当は陽子線治療を受けたかったのです。しかし事前に受けるホルモン療法の副作用で男性機能を失うのではないかと不安でした。担当医師は若い先生でしたが、説明が丁寧かつ熱心であり、全摘手術でも勃起神経を温存できる見通しである、と言っていただいたことから任せてみようという気になりました。

あなたからみなさんに伝えたいこと

手術の結果、全摘手術にはつきものの尿漏れも、私の場合は早期にほぼなくなり現在の生活に支障は出ていません。たまにくしゃみをした時などに少し漏れる感じがするくらいです。手術後のPSAも低い値で安定していますから良い医師に恵まれたと感謝しています。

男性機能の件では、「少なくとも片方の勃起神経は温存できる見通しである」ということで手術を受けましたが、幸いにも手術後「両方の勃起神経を温存できましたよ」とそっと聞かされた時にはとても嬉しかったのです。

術後まもなくEDを防ぐためシアリスを処方され、なんとリハビリとして放出することを医師に勧められていました。しかし試してみると何も出ないので驚きました。
事前の医師の説明で「精子は出なくなる」とは聞いていましたが、それはパイプカットをした方と同様に射精はできるが、その中に精子はない、ということだと思っていたのです。それがそうではなく出るものが出ないとわかりショックを受けました。

もう自分は普通の男に出来ることが出来ないんだ、という悔しさを感じました。もし術後のそんな状況を事前にわかっていたなら、この手術を受けていたかどうかわかりません。それでも最近はリハビリの効果もあってか、シアリスなしに朝や夜でも元気になっていることがあります、試しに放出してみると(実際には放出されるものはほとんど・・・ですが)不思議なことに以前のような射精感もあるのです。

古河市 T


 このページは直接インタビューしたものを、私が書き起こして掲載したものです
男性機能の件は答えにくかったと思いますが、ちゃんと話をしていただきありがとうございます。このへんのことは、あまりネットに掲載されていないことなのですが、私自身は治療法を選択する上でも重要なことと思っています。
 
精液のほとんどは前立腺と精嚢で作られますが、全摘手術ではその前立腺と精嚢を摘出します、精子を作る睾丸はそのままですがその量は精液の1割にも満たない量で、しかも前立腺と精嚢を摘出後、膀胱と尿道を直接吻合するため、その出口もないのです。
医師はこれらのことをあたりまえのように思っていますから、手術をすれば「精子は出なくなる」という説明で患者も同じように理解するだろうと思ったのかもしれません、しかしそれは医師の思いこみでしょう。術前の医師からの説明がうまく伝わっていなかったのは非常に残念ですが、勃起神経を温存、全摘手術後のPSAの値も安定しているとのことですから、手術自体は良い結果を出していると思います。
Tさん、詳しい話をしていただき、ありがとうございます。

参照
筑波大学附属病院|腎泌尿器外科

東京医療センター 外照射併用小線源

前立腺がん治療を経験された方の体験談 石さん

がんが見つかったきっかけは何でしょう

頻尿と尿が出にくいという症状が続いていたので、2014年の初めに地域の総合病院で診察を受けました。
触診では前立腺癌の疑いがあるとされました。その後生検を受けましたが、5本中1本が陽性とされ前立腺癌であると診断されました。その時のグリソンスコアは7でした。

どんな治療を勧められましたか?

担当医からは「手術は勧められません、放射線外照射が良いでしょう」と言われました。しかしこの総合病院にはその治療施設がないため、担当医の所属しているS市J医科大での外照射治療を希望しました。しかしそこでは半年待たないと治療を受けられない、ということもありとりあえず内分泌治療を開始しました。そして、そのまま内分泌治療を一年ほど続けていました。

外照射治療を積極的に受けようという気持ちがなかったのは、担当医師から前立腺癌は進行が遅いのでそのままでも10年は大丈夫・・というようなことをに言われたことと、もうひとつ・・。友人が進行した大腸がんの治療で外照射を受け重い障害が出たというのを知っていたので、私は外照射治療自体に不安を持ってたということもあります。

あなたが選んだ治療法は?

私は症状も軽く、薬も飲んでいたことからあまり積極的に治療をするということを考えていませんでした。しかし友人から勧められた本「前立腺ガン最善医療のすすめ」を読んだところ、外照射併用小線源という治療法があることを知り、積極的な治療を受けてみようという気になりました。本に紹介されていた東京医療センター 斉藤先生宛ての紹介状を持って診察を受けました。幸い小線源治療が適用できるとわかり治療をお願いしました。

治療法:外照射併用小線源治療
医療機関:東京医療センター

東京医療センターでは再度の生検とMRI検査があり、その後5月に小線源治療を受けました。小線源治療のプレプランは尿道カテーテルの挿入はなかったため楽でしたが、実際の小線源治療の時のカテーテルは苦痛でした。内分泌治療は小線源治療の時点で終わりになりました。小線源治療後の外照射は25回(1.8×25=45gy)です。東京医療センターと相談し、隣町の病院で外照射を受けました。

その治療法に決めた一番の理由は何でしょう

本の内容だけでなく、友人からも積極的な治療を勧められたことです。また、内分泌治療の影響で体重の増加、毛髪が増える、ホットフラッシュ、手の痛みなど一通りの症状が出ていました。手の痛みやホットフラッシュが内分泌治療の副作用によるものだと聞き、それをなくすためにも本格的な治療にを受け内分泌治療を終わりにしたいと考えました。

あなたからみなさんに伝えたいこと

小線源治療自体は苦痛もなく楽なものでした、しかしその前に行われる麻酔の体勢が上手くとれず痛かったのを覚えています。今月外照射が終わりましたが、その影響で頻尿になっています。また小便をがまんしている時に少し尿が漏れることがあります。(これは、治療前からも多少ありましたが・・)直腸の痛みや出血に関してはいまのところありません。全体的に考えてみるとこの治療を受けてよかったと思っています。

栃木 石さん74歳

このページは直接インタビューしたものを、私が書き起こして掲載したものです。ホットフラッシュや手の痛みが内分泌治療によるものだとはご存知なかったとのことでした。胸毛やすね毛は少なくなり髪の毛はふさふさ、肌つやもよくなるなどの変化に加え、治療前からの肥満傾向もさらに増しているとのことですが、内分泌治療が終わった現在、少しずつ以前の状態に戻ってゆくのでしょう。インタビューにお答えいただきありがとうございます。

参 照

国立病院機構 東京医療センター – 泌尿器科
高リスク前立腺がんでも根治が可能なトリモダリティ治療とは? | がんサポート

[サンプル] 外照射IMRT 栃木 64歳 N.A.

これは回答用テストサンプルです、実在しません。

前立腺がん治療を経験された方の体験談

がんが見つかったきっかけは何でしょう


市の健康診断で以前からPSAが高めであることを指摘されていました。しかし年をとれば誰でもそうなるんだろうと思い、ほとんど気にしていませんでした。今回たまたま友人の強い勧めがあり、近くの総合病院で再検査をしたところ、PSAが10を超えていることがわかりました。

基準値の2倍以上らしいが、PSAが10がどれくらい危険なのかわかりません。しかし医師の勧めで生検を受けることにしました。この時は生検がなにかも知りません。簡単な検査かと思ったら、そうでもなく入院して行うとのことでした。その内容は省略しますが、その結果、なんと前立腺癌と診断されてしまいました。

自分が癌になるなんてことは全く考えていなかったので、治療はできるんだろうか、それとも命の終わりなんだろうか、身の回りを整理したほうが良いのだろうか、など次々に疑問が浮かび、不安でいっぱいになりました。

検査結果
PSA: 10.5
グリソンスコア: 7(4+3)
陽性率: 50%(生検コア数12本、陽性6本)
触 診: しこりがあるとされた。
年 齢:63歳
リスク分類: 中間リスク

どんな治療を勧められましたか?

医師からは、当然といった感じで全摘手術を勧められました。転移でも起きたらきっと良くないことになりますから、もう気持ちとしては、一刻も早く体の中から癌を取り除きたいわけです。すぐにでも手術を受けたいと思いました。しかし医師に説明された、術後に予想される尿漏れ、性機能障害などの合併症を考えると、どうも気が進みません。

全摘手術を強く勧めるくらいだから、その治療に自信があるのだろうと思い、先生に「手術をすればほぼ確実に根治できますか」と聞いたところ、いや「それは、やってみないとわからない」というなんとも微妙な言葉が返って来たのでした。

医師だから「確実に」とは言わないだろうが、まあ大丈夫という答えを期待していたわけですが、この答えでは手術を受ける気になりません。だって、そうでしょう、性機能障害は確実に起こる、生涯尿漏れになるという可能性もないではない、さらに他にどんな障害が出るかもわからないわけです。

・・・それなのに「根治できるかどうかわからない」ですから、まるで品質保証は出来ないが白紙見積にサインをしろ、と言われているようなもの、私としては見積の詳細をきちんと評価してからGoだと思っているに、この内容で手術の許諾書にサインをしたら、大きな後悔することになりかねないと思ったのです。

それが癌治療だ、と言われればそれまでですがねぇ..。

医師は根治性を優先するなら「全摘手術」しかない、というようなことを言ってました。しかし、ネットで調べると必ずしもそうでもなさそうです。医療機関によっては放射線治療を勧めているところもある。そこで全摘手術ではなく他の治療法を懸命に探しました。しかし、ネットには健康食品の広告のように「何かうさんくさい」治療法がいっぱいあるのにも困りました。

そこで全摘手術をしない、とした場合、それ以外で他の方が多く選んでいる治療が何かを調べると外照射(IMRT)による治療だとわかりました。みんながやっている治療であればたぶん大丈夫だろうと思いIMRTを受けることにしました。院内の放射線科の医師に相談したところ、私の場合、手術はお勧めできない、と言われたため、担当医に紹介状を書いてもらい、他院で治療することにしました。

■ 全摘手術をするとすれば
内容:前立腺、精嚢、の摘出とリンパ節郭清
根治性:保証できない
性機能障害、尿モレ、その他の合併症
 たとえ生涯続く尿モレが起きたとしても、想定内とされる。実際に、「生涯続く尿モレ」の患者が一定割合で存在する。

■ 放射線治療をするとすれば
内容:前立腺、精嚢、の放射線照射
根治性:保証できない
性機能障害、頻尿、頻便、その他の合併症
たとえ生涯続く、尿道内出血、直腸出血があったとしても想定内とされる
 実際には、尿道、直腸出血が一定期間続くのが普通だが、殆どの場合、特に積極的な治療なしに治癒する。尿道、直腸出血が生涯続くことは稀で、その治療法もある。
 直腸の穿孔を心配される方もいるが、穿孔となると治療事故に近いものであり、そのようなことにならないよう、組織が耐えられる照射線量までしか照射しない。

あなたが選んだ治療法は?

実は、ひとことで外照射治療といっても多くの種類があります。IMRTにも、いくつかの方式があり、IGRT(画像誘導による位置決め)は当然としても、VMAT(回転照射)や、さらにトモセラピーのような螺旋状の回転照射をするものもあり、どれにすべきか、どの病院ならどのシステムがあって、どのような治療をするかが、なかなかわからなくて悩みましたが、優劣がはっきりしなかったため、結局近くの自治医大病院でIMRT治療(※1)を受けました。

※1:このようにできるだけ、医療機関は実名でお願いします、そのほうが後に続く方の参考になるからです、

その治療法に決めた一番の理由は何でしょう

放射線治療ではIMRTの治療が一般的だと思ったからです。また、精度の高い照射をすることで高い非PSA再発率と障害の少なさを両立させているという説明があったためです。
しかしながら、理論通りにピンポイントに照射ができるのか、治療に十分な線量が照射できるのか、という疑問もありました。

あなたからみなさんに伝えたいこと

治療が通院だけで済むというのがメリットですが、治療期間が2ヶ月くらいかかるのが辛いかもしれません、治療直後は直腸の痛み、出血もありましたが、現在の健康状態は良好です。

患者さんへの質問:
もし、時を遡れたとしたら、同じ治療を選びますか?

私は 「たぶん、この治療を選びます」と答えた。


千葉 N.A

これは、回答サンプルとして、こちらで作成したものです。