PSA再発:30ヶ月、再発は取り消しに!

前回の診察でも転移の可能性は否定されず、様子見とされていましたが、今回の検査で初めてPSAが下がり2を下回ったことから、ついに「PSA再発は取り消し」という珍しい診断がくだりました。
なにそれっ~、とお思いでしょう、でもホントです。


癌患者が一番気になることは、たぶん「もしかしたら、再発するのではないか」に違いない。治療を終えてずっと年月が経過してからも、経過観察のたびに「再発、転移」という影に怯える。そんな不安を抱えて生活するのは辛い。だが、将来再発が起きるかどうかは治療を終えた時点で、ほぼ決まっていると考えていい・・これは驚きではないだろうか?

外照射治療後30ヶ月目の診察

岡本医師が担当する前立腺癌の小線源外来は水曜と木曜、訪れる方はいつも30人以上と多く、そのほとんどの方が治療後の経過観察です。さすがに「癌」の治療ですから、治療後5年~10年は通うことになります。いつも待たされますから、それを覚悟でのんびり待っているに限ります。

前回の診察同様「診察前に採血」を指示され、採血後に放射線科での診察を受けました。私のPSAは1年前から2(2.353)を超え、6ヶ月前も上昇傾向、さらに3ヶ月前には2.866まで上昇しています。もし今回も上昇であったなら、さすがに「転移の可能性」から「転移の疑いが強い」に変わるかもしれない。

とは言え、私の治療前のPSA最高値は3.5、グリソンスコアは8に過ぎません。普通に考えれば、この程度の病期ではどの患者にも転移が見られないように、私にも転移などないはずです。しかしそこは癌、まれにではあるが、低いPSA値であっても転移はありうる、のだそうです。

私のPSAの推移は、専門の先生でも転移かどうか読めないような上昇傾向が続きました。下のグラフの黄色背景の部分を御覧ください、ホルモン療法の効果が消えたと思われるPSAが2を超えたあたりから9ヶ月間にわたってきれいに上昇しています。仮に転移があるとすれば転移した癌細胞も前立腺細胞の性質を持つためPSAを出しますから、これによってPSAが上昇し続けるはずであり、この変化から、まれなケースとして「転移の可能性」が想定されていたわけです。



このグラフではPSA再発の定義値2.007を超えている期間を黄色で示しています。これを見ると1年以上にわたって再発の定義値を超えていたことがわかります。内分泌治療(ホルモン)は2015年9月で投薬を終了しており、その後は無治療です。

放射線治療後のPSA再発「最低値+2.0」で判断
PSA1.793、「最低値+2.0」を下回ったので再発取り消し!

 放射線科で先生と話を始めてから少し経ったころ、今回のPSAの数値が判明しました。その値は、今までの上昇傾向から反転、1以上下降して1.793でした。担当医の河野先生からはPSAが下がりましたね、「これで心配事が1つ減った」と言われました。(2017年12月27日)

1年前にPSAがnadia値(治療後の最低値)から2ng/ml以上上昇し定義上「PSA再発」とされましたが、今回、PSA再発の閾値(2.007)を下回ったため「PSA再発は取り消し」になりました。
「PSA再発取り消し」は閾値を下回ったという単に定義上のことなので、この「取り消し」自体にそれほど意味はありません。重要なのは「治療後ずっと上昇が続いていたPSAが下降した」ということです。

転移の可能性は今の時点では否定
PSAの上昇はPSAバウンスによるもの

このPSAの低下をどう見るか・・以前はPSAはずっと増加傾向にあり、その上昇スピードと値の高さから「リンパ節転移の疑いがある」とされました。しかし、今回低下したことにより「PSA上昇は転移によるものではないようだ」という診断になりました。
なぜなら、もし転移であれば、可能性が一番高いのはリンパ節への転移だが、その場合は上昇が続くはずです。しかし今回大きく下降したことで、いままでのPSAの上昇は、「PSAバウンスによるもの」だろうとされました。引き続き3ヶ月ごとの経過観察が続きますが、今の時点では「リンパ節転移の疑いは否定」されました。

局所制御は完璧、前立腺内の癌の再発はない

前にも書きましたが、何人かの方から「転移が心配ですね」というご連絡をいただきました、しかし、私自身はほとんど不安を感じていませんでした。それは岡本医師の小線源治療において”局所制御は完璧”。つまり「前立腺の癌は放射線によってすべて死滅させられるので、前立腺からの再発はない」というこれ以上は望めない治療であることが大きな安心感になっているからです。

ただ、岡本医師のように”局所制御は完璧である”とまで言いきる、などということはまずないと考えていい。これが、もし他の治療法や他院での治療を受けていたとしたら、私のように高い値で上昇傾向が続くと、局所再発が起きたのではないかと不安な毎日を過ごすことになったかもしれない。摘出手術の場合は、たとえ低いPSA、中間リスクであったとしても、再発が起きないかどうかの予測はまず無理だと聞いていますから、なおさら不安になったに違いない。

放射腺治療後の、私のPSAの動向

PSAとテストステロン(TEST)の推移
2015年 3月24日     小線源治療
2015年 5月11日     外照射治療開始(6月15日迄)
2015年 9月16日 0.007 TEST 0.12 内分泌治療終了
2015年12月17日 0.010 TEST 0.10 治療後 6ヶ月
2016年 3月17日 0.030 TEST 0.16 治療後 9ヶ月
2016年 6月16日 0.199 TEST 2.48 治療後12ヶ月
- - - - PSA再発 - - - - -
2016年12月22日 2.353 TEST 5.40 治療後18ヶ月
2017年 6月14日 2.771 TEST 4.16 治療後24ヶ月
2017年 9月20日 2.866 TEST ー  治療後27ヶ月
- - - - PSA再発取り消し - - -
2017年12月27日 1.793 TEST    治療後30ヶ月
2018年03月28日     治療後33ヶ月 予定

以前から転移の可能性があるという話を掲載していたため、何人かの方から経過が心配だというメールをいただきました、ありがとうございます。ご心配をおかけしましたが、幸い今回の診察で”転移の可能性は否定”されました。

続きを読む>>治療後9年:PSA0.018