治療計画:小線源のプレプランニング

小線源手術の治療計画のデータを取るための検査

この診察をプレプランニングといい、小線源手術の20日ほど前(※1)に実施されます。患者に治療時と同じ体位をとらせシード線源を挿入するのに支障はないか確かめることと、シード線源の配置および使用線源数を決定するために、プローブ(経直腸エコー)を用いて前立腺の形態を3次元的に解析します。

実は「治療計画のための診察」と聞いていたので、軽く考えていたためどのようにして検査されるかまでは知りませんでした。検査のため治療室に入ると、小線源の岡本先生と放射線科の河野先生、さらに看護師さんまでいるので、あれれと思いました。

治療時と同じ体位、砕石位になり

経直腸プローブを用いて前立腺の3Dデータを取得する

先生の指示で小線源手術に使う寝台に仰向けに寝、手術と同じ砕石位と呼ばれる体勢をとらされました。つまり、仰向に寝たまま膝を曲げ足先を上げ・・、早い話が「赤ちゃんがおむつを替える時のような格好」にさせられ、固定されました。

プレプランが恐いという声も聞きますがもいますが、たいしたことはありません。でも、こわがりの方は、ここから下を読まなくても大丈夫、知らぬがホトケという言葉もありますから、何も知らずプレプランを受けましよう。次の>滋賀医大、3泊4日の小線源治療で入院へどうぞ!

尿道カテーテル&経直腸プローブ

足が固定されたら、次にあの部分をむんずと握られ、先にゼリー状の薬をまぶされるとすぐに尿道カテーテルが挿入されました。さらに肛門からも、当然のように棒状の「経直腸プローブ」が挿入されたのですから、言葉には出しませんが「うっ、先生ぇなにすんのぉ~」という感じです。ま、泌尿器科の治療ですからこれくらいは普通のこと・・なんでしょう。この話だけ聞くとぞっとするかもしれませんが、カテーテル、プローブともに表面麻酔効果のあるゼリーが塗られているため、刺激は緩和され痛いというほどの苦痛はありません。


まな板の上の鯉: 先生は手慣れています。鯉のように捌かれるわけじゃありませんから、先生を信頼して、どこからでも刺してしてもらおうじゃないのって気持ちで臨むこと。緊張しないことも大切です。この写真は放射線治療装置の模型です、小線源治療には直接関係ありません。

実は、この時どんなことになっているか気になって頭を起こそうとしたのですが、看護師さんに制止されました。頭を起こすと麻酔薬の悪影響が出るからだそうです。実際にはプレプランに麻酔薬は使用していないので大丈夫なはずですが、患者にとっては「手術のリハーサル」という意味合いもあるため止められたようです。

ここまでが準備でこれからが肝心のプレプラン。麻酔はしていないため何をしているのか、おおよそわかります。先生は直腸に入れたプローブを少しずつ動かしているようです、これは前立腺の形態を3次元的に解析してコンピューターに取り込み、前立腺の3Dデータを元に、後日シード線源の配置および使用線源数を決定するための検査で非常に重要です。私は、結構いろんな場面で写真を撮っているのですが、プレプランと手術の写真はありません。

ヨウ素125が封入されたシード


※ これは治療に使われるシードの写真です、シードは放射性物質のヨウ素125が封入されたチタニウムのカプセルで長さ4.5mm、直径0.8mmです。写真は透明な素材によって繋がれた連結型シード線源で、これを使用する医療機関もありますが。岡本医師が使うのは、連結型ではない「通常のシード線源」です、透明の部分はありません。

最終的な治療方針は、この時までに決める
精嚢にもシードを配置するのか?

このプレプランの直前、先生が以前に撮影された画像を見ながら「精嚢にもシードを配置しておくことにします」と言われました。これまでの診察では精嚢にもシードを配置するかどうかについて、先生に伺っても「必要であれば配置する」としか聞いていないため少し不安がありました。しかし最終的な治療方針は、この時までに決めるということだったようです、これですべての疑問が解消しました。

治療経過

トリモダリティ(密封小線源療法+外照射治療+内分泌治療の併用療法)
治療スケジュール 2015年
 11月26日(2014):CAB療法(複合アンドロゲン阻害療法)開始 
         ↓
 2月19日:診察、内分泌治療継続(CAB療法)継続 3ヶ月目
         ↓
 3月 6日:プレプラン(小線源治療の計画のための診察)
         ↓
 3月23日:小線源挿入手術のため入院、24日手術、26日退院
         ↓ 術後1週間の診察は遠距離通院のため省略
 4月24日:ポストプラン(小線源後一ヵ月目の確認、MRI,CTなど)
         ↓
 5月11日:外照射治療のため入院、照射開始、~6月15日
         ↓
 8月20日:診察、内分泌治療継続(CAB療法)継続 9ヶ月目
         ↓
 9月15日:診察、内分泌治療、約10ヶ月間、終了


尿道カテーテル&経直腸プローブ

尿道カテーテルの挿入に、それほど苦痛はないと書いていますが、個人差があるようで、痛い、検査後に血尿が出たという方もいます。また検査には苦痛をやらげるゼリー状の薬を尿道に入れますから、検査後にトイレに行くとそれも出て来ます。プレプラン後、血尿や漏れ出るゼリーが下着を汚すかもしれないと不安で、なかなか帰れなかったという方がいました。そんな時は滋賀医大なら1階ローソンにリフレという紙おむつ1枚から買えますから、それを買って使えば安心です。
経直腸プローブは、体に力が入ると苦痛を感じると思います。生検やプレプランの経験から言えば、プローブに対して少しお尻を突き出すくらいの気持ちで体の力は抜くこと。つまり、横になったら静かに息をはきながら全身の力を抜き、どこからでも刺してもらおうじゃないかという気持ちで、先生に身を委ねてください。それができればきっと大丈夫。カテーテルと経直腸プローブくらい、たいしたことではありません。

note

 ※1 プレプランは小線源手術の20日ほど前: 
この病院では通常手術日の18日前(2週と4日前の金曜)にプレプランを行います。小線源手術に使われるシード(線源)は放射線を出し時間経過とともに線量が低下しますから、治療施設内にシードを保管しておくわけにはいきません。手術日にあわせて、患者ごとに必要な本数をオーダーしその都度製造(外国で作られ輸入)されます。このため、もしこれ以降、手術日を変えたりキャンセルすると、これらのシードが使えなくなるので、患者は手術前の健康管理に十分な注意が必要です。もしシードの使用が出来ない場合は、患者がシード代金を実費負担することになります。この場合には保健が適用されないため高額となってしまいます。

トリモダリティ体験記

次へ> いよいよ小線源治療で滋賀医大に入院