小線源手術 – 手術翌日 –

入院3日目

 密封小線源治療 手術翌日 CT検査

寝たままで安静にしていてくださいという指示のままなので、あいかわらずご覧のように頭をベッドにつけたまま寝ているだけなんですが、これが辛い。朝には腰もかなり痛くなってきて、手術よりも辛いくらいでした。

それから・・おしっこはいまだ出たという感覚がなく、良く眠れないまま朝までずっと尿意を我慢していました。

ところが、朝になってから、この原因はカテーテルからのチューブが曲がっていたためと判り、直してもらったら一気に尿が出て楽になりました。それからは尿が溜まる感覚もなくとても楽でした。頭を動かせないので自分ではチューブの異常がわからなかったのです。担当看護師にもっと強く症状を訴えるべきでした。


その後ベッドから起き上がって立つことができ、やっと体が楽になりました。でもカテーテルはご覧の通りまだつけたままです。オムツもつけたままですが前日の食事が軽かったた手術後の便意もまだありません。

それともう1つ言い忘れたことが、
看護師さんから「頭をベッドにつけたまま安静に」と言われたので、仰向けで寝返りもしないでじっとしていたのです、そのため腰がとても痛くなったのですが、あとで聞いたら、頭をベッドにつけたままであれば、寝返りをしても大丈夫らしいとわかり、これも良く聞いておくべきだったと思いました。

CT撮影

午後、点滴を続けたままCT撮影がありました。これは線源の配置を撮影するためのものです。

小線源の照射線量130Gy(D90)

これは後日放射線担当医に見せてもらった画像です、この画像はCT画像に線量が描画されたもので、尿道に差し込まれたカーブしたカテーテルが濃いグレーで写っているのが側面からの透視画像、グレーの丸い断面が写っているのが水平断面です。

赤の線:前立腺の輪郭を示しています。
黄色の線:前立腺を包むように描画されている黄色の線は、線量160gyという高い線量を示しています。尿道への線量は抑えなければなりませんが、160gyの領域から離れていることがわかります。
緑の線:130Gyを示しています。写真ではほぼグレーに見えるため、わかりにくいのですが、緑の線はうまく尿道を避けており、実際の尿道の線量は130Gy以下になっていることがわかります。

トリモダリティの場合は 小線源は130gy(D90)程度ですが、小線源単独治療の場合は190gy(D90)以上という非常に高い線量です。この線量であっても、尿道の線量をきちんと下げることで放射線障害を許容範囲内に抑え、かつ腫瘍には
非常に高い線量を与えられるからこそ滋賀医大では中間リスク、あるいは高リスクであっても小線源単独治療が可能となっています。

小線源手術自体の負担ということで言えば、生検のそれと大きくは違わないという印象でした。もっとも内部から一定期間放射線が照射されますから体の負担が少ないわけではありませんが。

というわけで手術完了

治療計画はコンピュータの支援により放射線科医が作成し、放射線科医のリードで泌尿器科医がシードを留置します。シードの配置は、留置するためのシーディングニードルの刺入の精度に大きく影響されますが、前立腺は生体であり変形しやすいため刺入には経験に基づく高い技量が必要であると聞きます。
シードの放射線はその周り5ミリ程度しかないことを考えると、精度良く留置しないと治療計画が成り立たないと考えられます。
小線源治療の技術は、放射線科医と泌尿器科医が共有していますが、放射線科医は理論的には治療を熟知していても、精度良く留置するためのシーディングニードルの刺入技術を持っていないため、仮に不慣な泌尿器科医に対して指示をした場合、精度の良い治療は望めないでしょう。
しかし、逆に泌尿器科医が治療を熟知している場合には、経験の少ない放射線科医と組む場合でも治療技術を理論的に説明した上で補佐をしてもらえば良いわけで、精度という問題は起きないと思われます。
 
小線源の最大の問題点は、泌尿器科医の持つ刺入に関する技術が容易でないため、その継承や指導が難しいということではないでしょうか


トリモダリティ体験記

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