検査:骨シンチ – 遠隔転移を調べる

癌の疑いから告知、そしてやっと最後の検査まできました。しかし・・骨シンチの結果を待つ間ほど恐いものはない、なぜなら・・

骨シンチ(骨シンチグラフィー)
検査は、注射打って、しばらく待たされてから検査用の寝台に寝てるだけだから、痛くもなんともない。しかしこの検査で癌の骨転移が見つかると、癌と共存する道に進むことになる。癌と診断された以上、転移のリスクはあるのだけれど、そのリスクがどの程度なのかわからないから、結果が出るまでの間は癌の告知後以上に怖かった。
 
しかし、実はPSAが10や20くらいでは、骨転移のある人は”まず”いない。100であっても骨転移がない人も普通にいる。みなさん心配されているが、案外大丈夫なものである。GS7なら全然平気、GS8でもまあ心配はいらない・・。但し、このことは「今だからわかること」であって、この時の私は何もしらない。

検査を開始してから「がん」という診断までに3ヶ月以上

初診から、がんの告知までが長かった

私は、癌と診断されても、そのまま治療に移れるように前立腺癌治療実績の多い病院で検査を受けました。しかし混んでいたようで、検査から「がん」という診断までに3ヶ月以上かかりました。初診時のPSAが3程度であったことから病院側が検査を急ぐ必要はないと考えたのかもしれません。でも、その間私は「もし癌なら進行してしまわないのだろうか?」という不安が、ずっと頭にありました。食欲も以前ほどではなくなり、体重も3,4キロ減りました。そしてやっと今回の「がん告知」を受け、はっきりしてほっとしたという気持ちもあったくらいです。


がん、と知った時は誰も癌の初心者。不安でたまらないから、どうか治りますようにと手をあわせる方もいるが、私の場合は指先でGoogleと打つことを選んだ。もしあなたが「この写真に写っているのは何か」を調べるとしたら、どんなキーワードを使うだろうか。
私なら”4枚 羽 植物 と画像検索”とします。答えはおわかりですね。前立腺がんの情報なら”PSA非再発率”というキーワードも良さそうです。

遠隔転移を調べる画像診断|骨シンチグラフィー

ここからは、一気に検査スピードが上がり、翌日に体幹部CT、4日後に骨シンチグラフィーを受けました。しかし、この結果が出るまでの間が、がんを告知された時以上に不安でした。死の恐怖を感じたのはこの時です。・・・というのは、前立腺がんの根治治療においては「遠隔転移がない」ことが条件となるため、この2つの検査で遠隔転移が見つかると根治治療には進めないとされているからです。

これまでの検査

検査 [Tがんセンター]
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PSA再検査:PSA2.97ng/ml 問診、触診では特に問題なし
  ↓
腹部造影MRI  ↓
診 察:MRIの結果左葉に影が見られる、前立腺癌が疑われる
  ↓
前立腺生検(入院)  ↓:経直腸生検
診 察:告知 グリソンスコア8 高リスク前立腺がん
  担当医から告知を受けるとともに、さまざまな治療法の説明を受ける

癌と確定後の今回の検査

遠隔転移を調べる画像診断 [Tがんセンター]
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体幹部CT  ↓:造影剤を使った胸部と腰のCT
骨シンチグラフィー  ↓:骨への転移を検出する検査
診 察:最終的な診断結果

体幹部CTはじっとしているだけ。骨シンチグラフィーもラジオアイソトープの注射を打ってしばらくしたあと、自分のまわりを機械が回転するのを寝て待っているだけと、検査自体の苦痛はまったくありません。

これは骨シンチの診断画面ですが、まさに骨そのものを観察しているようです。

今でこそGS8、PSA一桁程度では「そう転移などあるものではない」ということを知っていますが、この時は検査結果が出るまでの10日ほどの間は落ち着かない日々でした。テレビなんてちっとも見る気になれません。毎日のように今まで経験したことのないような悪夢を見ました。寝るのがいやで、検索画面を出したまま机に伏せて寝てしまう日が続きました。

検査結果: 画像上、転移は見られない

大丈夫、根治が目指せる・・

やっと最後の検査までたどり着きましたが、その間に転移でもしないかとずっと不安がありました。骨シンチの結果、幸い「転移は見られない」と聞いて、ほんとうに嬉しかった、癌なのにとっても嬉しかった、まだ戦える・・。
しかし、この検査で私とは逆に「転移の可能性がある」と診断された方はどんな気持ちになるかと想像し、胸が痛みました。

骨シンチグラフィー(コツシンチ)

前立腺がんは進行すると、前立腺被膜外浸潤、精嚢への浸潤が起こります、前立腺がんは進行すると、前立腺被膜外浸潤、精嚢への浸潤が起こります、ここまでなら根治の可能性も低くありませんが、さらにリンパ節への転移が認められると根治がやや難しくなります。しかしリンパ節転移があっても医療機関によって(※)は根治を狙った放射線治療が可能ですからまだ戦えます、大丈夫です。
次の段階としては、骨転移が現れることが予想されますが、その場合は根治は困難であり、通常内分泌治療によって進行を抑えるしかありません。この骨への転移の有無を調べるための検査が骨シンチグラフィーで、放射性物質を静脈注射したあと全身を撮影すると、がんの転移のある部分の骨が黒く映ります。
しかし画像検査ですから限界があり、骨転移でない場合でも黒く映ることがありますから、骨転移の疑いがあるとされても、PSAやグリソンスコアがそう高くないなら、この検査結果そのものを疑ってかかるべきです。骨シンチの結果は絶対ではありません。
また、骨シンチでは、微小な骨転移は発見できないかもしれませんから、逆に「微小な骨転移が発見されないまま隠れている」という可能性もあります、しかしその場合でもそれに対して何か有効な手が打てるわけではありませんから、骨シンチで異常ナシと言われたらOK、それで十分です。
骨シンチは「根治治療を受けられるかどうかの判断」がかかっているので、結果を心配されると思いますが、こればかりは運のようです、しかし文頭に書いた通り結構大丈夫なものです。


被膜外浸潤、精嚢への浸潤、さらにリンパ節への転移に対しての対応は医療機関によって様々です。

骨シンチグラフィー

がんが骨に転移しているかどうかは、がんの治療を進めていくうえで重要な情報となります。それ以外にも骨折や骨髄炎、関節炎の診断に利用されることもあります。
骨シンチグラフィー|国立国際医療研究センター病院

前立腺癌は転移しやすい?

ネットの情報を読んでいると、公的機関の情報であっても「前立腺癌は転移し易い」という情報も散見されます。最近告知を受けた患者にとっては身も凍るような情報ですが、これはおそらくPSA検査が一般的でなかった頃の古い情報ではないかと思います。現在では、PSA検査により癌の進行の早い段階でも見つかりますから「そう簡単に骨転移は起きない」という認識で良いと思います。
但しPSAが1桁であっても、例えば1年で2倍近い高い上昇率である場合や、PSAが2桁でグリソンスコア9-10の場合などは、進行が早い可能性がありますから、すみやかに検査、あるいは治療を進めるべきです。ただその場合であっても1ヶ月の検査の遅れ、治療の遅れが問題となるようなことは、まずありません。その点では前立腺がんは他の癌に比べ穏やかな進行であると言えます。


前立腺癌 注目すべきは”PSA非再発率”

癌の疑いから告知、さらに転移がないかどうかの検査が終わり、次は治療法の選択です。完治の可能性が高い治療法はどれか、ということですが、その参考にしたいのがPSA非再発率です。

前立腺癌のPSA非再発率と生存率

前立腺がんの治療後、PSAの値が基準を超えると「PSA再発」とされ、いずれは臨床的再発に移行します。しかし「PSA再発」を起こした場合でも、ホルモン療法によって数年以上癌を抑えられることも多いため、前立腺癌の5年生存率は、どこの病院でも、どの治療法でも普通に95%以上ですから、前立腺がんは予後が良いと言われます。しかし、その95%の中には「PSA再発」を起こされた方が含まれ辛い思いをしているということを忘れるわけにはいきません。

CRPCの出現を避けるには?

「PSA再発」に対してもホルモン療法は非常に効果的ですが、いずれホルモンに抵抗性のある癌細胞(CRPC)の出現によりホルモンが効かない状態になり、ホルモン剤の交替、抗がん剤と進み、命の危機にさらされます。
その命の危機を避けるには、初回の治療で完治(根治)させる以外にありません。そのために患者ができることは、高い根治性が得られる治療法と信頼できる医師(または病院)を選ぶことだけです。その時に参考にするデータは生存率ではなく「PSA再発」を起こしていない人の割合である「PSA非再発率」です。

PSA非再発率の比較は、ホルモン療法の期間を考慮する

PSA非再発率は、手術であれば、5年PSA非再発率がどれくらいかで見れば、およその期待値はわかるでしょう。
放射線の場合も5年PSA非再発率が参考になるのですが、ホルモン療法を併用した場合の放射線治療データは、観察期間の中にどれくらいの期間「ホルモン療法」を行ったかによって大きく違いが出ます。観察期間の開始はいつなのか、ホルモン療法の期間はどれくらいか?が重要です。
放射線治療に併用してホルモン療法を行った場合でも、観察期間の開始は放射線治療終了後、が一般的であると思います。そして、ホルモン療法を1年行った場合は、投薬終了後も1年くらいその効果が続くため、およそ2年間ほど効果があることになります。同様に、ホルモン療法を2年行ったら合計3年以上も効果が続きます。その間はPSAが上昇しませんから、本来の放射線治療の結果をマスクしていると考えられ、その期間を差し引いてデータを比較すべきでしょう。

リスク別PSA非再発率においても、単純比較はできない

PSA非再発率は、対象が全ての患者なのか、リスク(高リスクや中間リスクなどの)ごとのデータなのかによっても大きく違います。また、リスク別PSA非再発率においては、高リスク以上、中間リスク、低リスクのように、3つの患者グループとする場合が多いのですが、さらに超高リスク・グループを加えている病院もあり、この場合は高リスクから超高リスクが分離されるため、他院よりも高リスクのPSA再発率が低く抑えやすいはずです。
 
また、医療機関によって勧められる治療法には差があり、例えば、高リスク(あるいは超高リスク)に対しては主に放射線外照射を勧め、小線源治療には慎重なA病院と、高リスク以上にも積極的に小線源治療を勧めるB病院で、小線源治療の成績を比較すると、A病院では、結果的に「治療が難しい高リスク以上の患者」を除外しているのと同じであると思われますから、もし技量が同じであれば、より積極的な治療をする病院のほうがPSA非再発率が低い、という実態とは違ったデータとなる可能性もあるわけです。このようなことを考えるとPSA非再発率の数値の単純比較では正しく評価できないこともあるうるということがわかります。

PET/CTによる画像検査では、なにか見つかるか?
PET,PET/CTによる泌尿器腫瘍の画像診断│横浜市立大


ほんとうにほっとしました
・・・
これで根治治療に進めることになった、全ての検査を終え治療法の選択をする時、一番気にしたのはがんの悪性度。

トリモダリティ体験記

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