前立腺癌かもしれない、と知らされた方へ

私は2014年に前立腺がんと診断され、2015年の治療から現在まで、多くの患者の皆様と話す機会があり、摘出手術、放射線とも多くの症例を知ることができました。

皆様に共通する願いは「根治するにはどうすれば良いのか」、
一番の心配は「転移が現れたりしないだろうか」ではないでしょうか。

それでは・・
医師は、あなたが根治するための道筋を示してくれるのか?

 
答えはNo、
いくつかの治療法の説明と、推薦する治療の提案をしてくれるでしょうが、医師に根治できますか?、と尋ねても、以下のような理由で、明快な答えは得られないのが普通です。

PSA値
PSAの基準値は4です。あなたは、こう思われたのではないでしょうか
・PSAが5とか8くらいなら、根治できそうな気がする。でも20とか30以上なら、根治は難しいのではないか?。

・・しかしながらPSA値は、根治できるかどうかの指標にはなりません。(PSAが低いほうが癌が小さい場合が多く、治療しやすいという傾向はあるのだが)
PSA10以下でも、非常に悪性度が高い場合は少ないながら再発し根治できない方もいる、その一方でPSA40以上でも、すんなり根治してしまう方もいます。

癌の悪性度
癌の悪性度はグリソンスコアで表されます。一般にグリソンスコアが高いほど根治しずらい、という傾向があります。

癌の広がりは不明
悪性度が高いほど、癌が外に広がりやすい、という傾向はあるものの、MRIやCT、骨シンチなどの画像検査では、小さな転移や前立腺の外への浸潤の様子などは、はっきりとは映りません。つまり画像検査に確実性はないのです。

さらに治療法によっても・・
ダビンチによる摘出や、放射線という治療法によっても根治の可能性が変わってくるわけですから、不確定要素が多すぎて、こうすれば治るとは答えられないわけです。

では、医師の勧める治療法に合理性があるのか、について考えてみると

 
答えは、これもNo、
たとえば、医師が他院に優れた治療法があるのを知っていたとしても、自分の勤務する病院に多額の投資をした最先端の治療システムが導入されているとしたら、多くの場合自院の治療を勧めると思われる。一度、ダビンチの損益分岐点を調べて見ると良い。

泌尿器科の担当医は、まず摘出手術を勧めるのはなぜか・・
 泌尿器のがんには、前立腺がん以外にも、膀胱がん、腎がん、尿管がん、精巣腫瘍 などがありますが、いずれも治療法の中心は摘出手術です。したがって多くの泌尿器医師は、まず「摘出手術」から考える、というのがデファクトスタンダードではないかと思われます。摘出手術には詳しくても、多様な放射線治療や薬物治療はあまり詳しくない、という先生が少なくないのです。

したがって、医師の勧める治療法が「一番根治性が高いとは限らない」ということになり、「医師はあなたが根治するための道筋を示してくれるは幻想」ということになる。

結局のところは、自分で治療法を探す以外に手はない

それではどうするか、
セカンドオピニオンで他院の先生の意見を聞くのも良いでしょう、しかし担当医に摘出手術を勧められているのなら、他院の泌尿器科の先生にセカンドオピニオンを求めても、「およそ肯定的な意見を返してくるだけであり」あまり意味はない。この場合は他院の放射線治療医の先生に意見を求めたほうが、より広い視点で治療についての話が聞けるでしょう。

癌の告知、あるいは癌の可能性を指摘されて、落ち着かない気持ちだとは思いますが、幸いなことに前立腺がんに関しては、検査後、急速に症状が悪化する方、というのはごくまれな症例であって、ほとんど(99%以上というくらいの)の方は、治療するかどうか、あるいは生検を受けるかどうかの判断を少なくとも1ヶ月や2ヶ月先送りしたとしたところで”根治性に影響は出ない”と考えて大丈夫です。
こう書くと、まわりはみんな健康なのに自分だけ癌の可能性を指摘された、ということもあり自分が「まれな症例」に当たると考えてしまいがちですが、そんなことはない、普通は99%のほうです。

それよりも、インターネット上の多くの情報を読んでください。
ただし、現在では、Googleの方針で、医療機関以外の情報が上位に表示されにくくなっています。
その医療機関の情報は、自院で可能な治療のメニューを提示しているようなもので、自院で放射線治療とダビンチの手術を行っている場合などは、どちらの治療法も同程度の根治性とする事が多いので、あまり参考にならないのですが・・

それでも、多くの治療法や、病院の記事などを自分で分析する作業を繰り返していると、しだいにどれが確からしい情報なのかがわかってきます。他の臓器の癌では、調べるほど気持ちが重くなるだけ、という場合もありますが、
幸いなことに前立腺がんでは調べれば調べるほど、いろいろな道が見えてきますから、少しだけ元気になるかもしれません、
このサイトでは、そのための基礎的な知識を含む情報をたくさん詰めこんであります。

最後に1つ

摘出手術であればチャンスは2度!はまやかし

泌尿器科医は「摘出手術であれば、再発しても放射線治療が受けられるが、放射線治療は1度しか受けられないので後がない」と言いますが、それをそのまま信じてはいけない・・・詳しくは本文で

また、再発したら、再度それを取り除けば良いのではないか?と思われるかもしれません。摘出手術における再発は、癌のわずかな取り残しが主な原因なのですが、画像検査でそれを見つけるのはほぼ無理であるため、再手術は困難です。たぶんこのへんだろう、で救済放射線治療が行われますがその成功率は50%程度、再発した方の精神的なダメージもかなり大きい。

再発しない治療を目指す

もし再発したらこうする・・ではなく、どうしたら再発しないのかを考える。つまり治療する前の段階で、最も再発しくい治療であるかどうかを判断基準としてください。根治を目指すならこれ以外にありません。