今、滋賀医大の小線源は揺れている

「素人同然の未経験医師の練習台にされようとしていたのです。それを知って私は驚愕しました」

・・・これは、滋賀医大泌尿器科で診察を受けたある患者さんの言葉ですが、附属病院で何が起きていたのか、皆様に知っていただきたい。

治療経験が全く無い医師による小線源治療計画

2015年に前立腺がんを罹患し、滋賀医大病院泌尿器科の窓口で診察を申し込んだ方のうち、20人以上の患者さんが、小線源の治療経験が全く無い泌尿器科の医師によって診察を受け、小線源治療が計画されました。そして、実際に小線源治療直前の状態までいった患者さんがいます。

ところが、2016年になって、突如、その20人以上の患者さんに対する小線源治療予定はすべてキャンセルになり、主治医が成田医師から、多くの小線源治療の経験を持つ岡本医師に変更になりました。しかし、この時患者に対して病院からは何の説明もありませんでした。

その後判ったことは、このような事実

  • 成田医師は、外科手術、特にロボット手術が専門であり、小線源治療についての特別な訓練を受けたこともない未経験者であったこと
  • 泌尿器科では、平成15年2月ころから、小線源治療学講座とは別に泌尿器科でも小線源治療を実施する計画をたて、滋賀医大病院における小線源治療を希望して来院した患者のうち、紹介状に「小線源治療学講座」や「岡本医師」との特定記載がなかったものを小線源治療学講座外来に回さないで、泌尿器科外来で受け付けて診察したこと、
    また、それ以外の患者で小線源治療が適切であると判断した患者も小線源治療学講座に回さず、同年末までの間に、合計23人の患者について、泌尿器科において成田医師が小線源治療を実施する具体的予定をたてたこと
  • 泌尿器科の上記企てを知った岡本医師は、これを止めさせるよう滋賀医科大学学長に進言し、その結果平成16年1月、病院長の指示で上記23名の主治医が成田医師から岡本医師に変更となったこと

成田医師が小線源治療実施していた場合のリスク

(1) 小線源治療の要であるシード線源の挿入作業は、極めて高度な手技を要します。局所再発のない小線源治療を行うためには、前立腺全体に均一に高線量が照射されるとともに、前立腺被膜ぎりぎりにシード線源を配置し被膜外浸潤に対応しながら、他方で尿道と直腸には高線量領域がかからないように配置しなければなりません。成田医師がそのような問題意識を持っていたかすら疑問ですが、仮に持っていたとしても、手技が伴わなければ、実践することはできません。成田医師は、そもそも適切な配置を行う技術を有していません。

(2) 結果として、もし成田医師が小線源治療を実施していれば、尿道や直腸に過剰な線量を照射してしまい尿閉を含むきわめて重篤な尿路合併症や、重度の直腸出血等の合併症を発生させたり、適切に前立腺に線源を配置できないことから照射不十分によるがんの再発等を生じさせるなど、患者に対して深刻な悪影響を与えていた危険が大きかったといえます。特に、がんの再発は、生命にもかかわる重大問題です。

説明義務を果たしていない

成田医師には、患者に対して、小線源治療学講座でも小線源治療を実施していること、小線源治療学講座の岡本医師は、小線源治療で豊富な経験を有しており、良好な成果を上げているベテランであること、他方、成田医師自身は小線源治療を実施した経験がないことを説明し、患者に対して、小線源治療を泌尿器科で受けるか、小線源治療学講座で受けるかについて自己決定をする機会を与える説明義務があったと考えます。

それは、次のことから明らかです

  • 小線源治療は、数十本という多数のシード線源を前立腺に永久に留置するという侵襲性の高い治療方法であり、合併症の危険がある外、がんが再発すれば生命にもかかわることから、熟練した術者に施行してほしいと考えるのは患者としては当然の願いであり、少なくともその願いを叶えるための機会が与えられなければなりませんでした。
  • 成田医師が小線源治療について未経験であったのに対し、同一病院内にベテランの岡本医師がいたのですから、主治医である成田医師が、患者の上記願いを叶えるのは容易でした。
  • 成田医師による小線源治療が岡本医師の指導監督のもとに行われるものと誤信していた患者さんもいます、そのことは、成田医師は分かっていたと推測できます。
  • 患者にとっては、今後の人生に重大な影響を与える小線源治療なのですから、同一病院内の複数の診療科で同じ治療を実施しており、従来の実績、担当医師の経験に雲泥の差がある場合に、そのことの説明を受け、どちらの診療科で小線源治療を受けるかを決める機会を与えられることは、患者が、本件病院泌尿器科で成田医師による小線源治療を受けるか否かについて熟慮・決断を助けるために必要な事項であり、成田医師には、上記のとおり説明する義務があったというべきです。

(5) そもそも、小線源治療の未経験者であって特別な訓練も受けていなかった成田医師が、23名の患者に対して小線源治療を実施しようとしたこと自体が異常な事態です。成田医師が、仮に本気で小線源治療の技術を習得したいと考えたのであれば、著名な専門家である岡本医師が同一病院内にいるのだから、岡本医師に教えを請い、岡本医師の下で技術を習得すればよかったし、現に、岡本医師の下には、全国から、岡本メソッドのノウハウ、技術の習得を目指して多くの医師が研鑽に来ています。しかし、成田医師が岡本医師から学ぼうとしたことは、ついぞなかったということです。

   どんな医師でも初めてメスを持つことがあります。患者がそれを受け入れるのは、総合病院において、チームとして施術がなされ、経験者である医師の指導と監督の下でその手術が行われるからです。経験者の指導も監督もなく、未経験者が侵襲性の高い療法を実施することを患者が承諾することは通常は有り得ません。

この文章について

この文章は以下の「滋賀医大事件 損害賠償請求訴訟」における「滋賀医大事件記者会見説明要旨」をもとにリライトしたものです。

2018年8月1日、滋賀医科大学医学部附属病院前立腺癌小線源治療学講座で特任教授岡本圭生氏の診察または治療を受けた本人又はその相続人4名が、同病院泌尿器科科長・教授河内明宏氏、同科副科長・病院教授成田充弘氏を被告として、説明義務違反を理由とする損害賠償請求訴訟を提起いたしました。2018年8月1日

詳しくは以下のサイトを御覧ください
滋賀医大小線源患者会
→ https://siga-kanjakai.syousengen.net/

泌尿器科学講座の意見表明

これに先立ち2018年7月29日、朝日新聞に提訴にかかる報道がされましたが、それに対して 滋賀医科大学泌尿器科学講座 から意見表明がされました。

詳しくは以下をご覧ください
滋賀医大小線源患者会│朝日新聞報道への大学の見解について