トリモダリティ│滋賀医大 大阪 林

前立腺がん治療を経験された方の体験談 大阪、林 さん

がんが見つかったきっかけは?、また、どんな治療を勧められましたか?

 父親が前立腺がんで亡くなったのをきっかけに、できるだけPSA検査を受けるようにしていましたが、5年ほど前からPSAの上昇が見られるようになりました。

 大阪市内の総合病院で精密検査を受けた結果、前立腺がんが見つかり、摘出手術と放射線外照射治療についての説明を受けました。
 私自身は、最初は摘出手術するつもりでしたが、インターネットや本を見て、完治させるためにはトリモダリティ以外に治療方法はない、と気づき、担当医に「小線源治療を受けたい」と言ったところ、「うちは小線源治療はしていませんが、ご希望の病院があれば紹介状を書きますよ。」と優しい言葉をかけていただき、途中、遠回りもしましたが、最終的には滋賀医科大学の岡本先生にたどり着くことができました。

 PSA: 35
 グリソンスコア:9
 陽性率: 14%(生検14本中陽性2本)
 T分類: T2a
 診断時年齢: 63歳
 治療年月: 2017年8月
 触 診: 異常はありましたか?
     触診で異常はありませんでした。
      

あなたは、どの治療を選びましたか?

 会社の健康診断では、長い間、PSAは低い値でしたが、57歳の時、「PSA3.9」となりました。しかし、健康診断結果には「(基準以下)異常なし」と書いてありました。
健康診断の問診医に「基準より0.1低いだけなのですが、これって本当に大丈夫なのでしょうか」と聞いたところ、「前立腺炎でもPSAは高くなるので、PSAが高いからと言ってがんとは限りません。いずれにしても、前立腺がんは進行が遅いがんなので心配は要りませんが、検査だけは定期的に受け続けてください。」ということでした
 別の機会を捉えて他の医師にも聞きましたが、大体同様のことを言っておられ、PSAもその後、一時的に下がった時もあって、「多分、前立腺炎なのだ」と勝手に思い込み、すっかり油断してしまいました。

 結局、精密検査を受けたのは4年後の61歳になってからで、せっかく早期発見したのに、PSAはすでに12まで上昇していました。
 精密検査を受けた大阪市内のT総合病院のH医師は、最初から前立腺がんの可能性を疑っておられ、最初の生検でがんは見つかりませんでしたが、翌年、「また生検をやりましょう」、と言われました。(多分、その時、私は露骨にいやそうな顔をしていたと思います。)
しかし、次の生検でがんが発見され、H医師から「次回の診察までに、治療方法を選択してください」と言われました。
 私の場合、限局がんという診断でしたので、摘出手術してしまえば後腐れがないはず、と思っていましたが、インターネットや本でいろいろ調べて見ると、高リスクの場合、摘出手術を受けた患者の約半数が再発しているというデータが書かれており、愕然としました。

 何か良い方法はないか、

いろいろ調べた結果、トリモダリティが一番良いということがわかり、翌週、「小線源治療を受けたい」と言ったところ、H医師は「いろいろと調べられ、希望の病院があるのですね。うちは小線源はしていないが、ご希望の病院に紹介状を書きますよ。」と優しい言葉をかけていただきました。初期から前立腺がんを疑い、生検の本数を通常より増やして見つけていただいたり、患者が言いだしにくいことを察知して紹介状の話を切り出してくれたり、今でもH医師には感謝しています。

 ただ、その時失敗したのですが、治療方法の選択も重要だが医師の選択が重要なのだ、ということがこの時点ではわかっていなかったため、トリモダリティの治療実績をホームページに公開してアピールしている病院の中で、通院しやすいところ、という基準で考え、近くのH医科大学病院への紹介状を書いてもらいました。
 ところが、H医科大学病院へ行きトリモダリティを希望すると、「あなたの場合は摘出手術が一番適しています」、と言われ、来るところを間違えたとすぐに気づきました。
「トリモダリティ以外は考えていないので、滋賀医科大学病院への紹介状を書いていただけないでしょうか」、と言い、結局、遠回りして滋賀医科大学へとたどり着きました。

 ただ、この時、思ったのですが、H医科大学病院の公開情報では、完治率は公開していないものの、トリモダリティも放射線外照射治療も多くの実績があるようでした。それなのに担当医が摘出手術にこだわったことにひっかかりを感じ、理由はいろいろあるにしても、当たった医師により自分の得意な治療方法を勧めるのだろう、とその時、思いました。ということは、滋賀医科大学へ行っても、最初に当たる医師によっては手術を勧められるかもしれない。おそらくいったん滋賀医科大学で別の医師に診てもらうと、途中から岡本先生に回してもらうことは難しいかもしれない。その時はせっかく岡本先生がおられるのに、また他の病院を探さなくてはならないかもしれない。いつまでもそんなことはしておられない、と思い、H医科大学には「紹介状は泌尿器科ではなく、前立腺癌密封小線源外来の岡本医師宛にしてください」と頼み込みました。

 そして、やっと岡本先生のところにたどり着いたのは、2016年の9月、PSAはすでに35まで上がっており、グリソンスコア9という状況でしたが、最初の診察を受けたその日のうちにホルモン治療を始めていただきました。
岡本先生のお話では、「PSAの上昇速度が早いこと、グリソンスコアも高いことから、摘出手術では間違いなく再発するケースです」とのことでした。

 現在の心境としては、

「前立腺がんは進行が遅いがんなので、あわてなくても大丈夫」と言われた言葉を真に受けて、のんびりしていた自分が悔やまれます。人によって違うんですね。
滑り込みセーフだったのか、あるいはもうアウトなのか。
 完治を目指して、一番確実な治療方法と医師を自分で探し、選択しました。これでだめならそれは運命、でも岡本先生の治療なら絶対大丈夫、再発はしないはず、と現在、思っています。

治療後の経過、感想など自由にお書きください

差し支えなければ、男性機能はどうなりましたか?、教えてください。

 男性機能については、ホルモン療法の時は、射精はできないが勃起機能の方は大丈夫な状態というのは確認できましたが、小線源治療・放射線外照射後は、とてもそのような気分にはなれず、まだ試したことがありません。

 副作用については、

ホルモン療法ではほとんど副作用がなく、小線源治療では尿の出方がかなり悪くなったものの、特に気になるほどではなかったのですが、放射線外照射後は副作用に苦しんでいます。
とにかく尿も便も残留感がひどく、何度でも行きたくなる。おまけに生まれて初めて痔になり、何度もトイレに行くたびに痛さで体力を消耗していきます。現在、サラリーマンで仕事をしていますが、幸い職場の近くにトイレがあるものの、切迫便に追い立てられてトイレに入ったら、先客で個室がすでにふさがっていた時は、思わず絶望の声を上げそうになります。
 紙オムツをはいているので、どうしようもない時は仕方がないのでそのまま漏らします。個室が空いたら、お尻を拭いて、紙オムツを履き替えます。最近の紙オムツはよくできているので臭いはほとんどわかりませんが、漏らしてしまうと部屋に戻ってイスに座ることができないので、別のトイレを見に行くか、トイレ付近で休憩しているふりをしています。
 最後はながながと汚い話で終わり、すみません。現在、私にとって一番切実な問題です。


大阪、林

インタビューへの回答 ありがとうございます
林さんから
「自分が治療を受けた時、初めての体験で何をされるのかもわからない一寸先は闇の中で、じぇんじぇんがんの体験記を見ておぼろげながら、ああ、この先はこんなことが待っているのか、ああ、ここさえ乗り切れば何とかなるな、ということがわかり、ずいぶん助けられました」
とお聞きして、嬉しいような、気恥ずかしいような気持ちです。投稿ありがとうございました。
私が、癌だと言われた時、トリモダリティ治療を受けるって、どんななんだろうと思っていましたが、なかなかネットでは患者からの情報が見つかりませんでした。「じぇんじぇんがん」は、そんな方に伝えられればいいなと思ってが書いています。読んでいただきましてありがとう。

東京医療センター 外照射併用小線源

前立腺がん治療を経験された方の体験談 石さん

がんが見つかったきっかけは何でしょう

頻尿と尿が出にくいという症状が続いていたので、2014年の初めに地域の総合病院で診察を受けました。
触診では前立腺癌の疑いがあるとされました。その後生検を受けましたが、5本中1本が陽性とされ前立腺癌であると診断されました。その時のグリソンスコアは7でした。

どんな治療を勧められましたか?

担当医からは「手術は勧められません、放射線外照射が良いでしょう」と言われました。しかしこの総合病院にはその治療施設がないため、担当医の所属しているS市J医科大での外照射治療を希望しました。しかしそこでは半年待たないと治療を受けられない、ということもありとりあえず内分泌治療を開始しました。そして、そのまま内分泌治療を一年ほど続けていました。

外照射治療を積極的に受けようという気持ちがなかったのは、担当医師から前立腺癌は進行が遅いのでそのままでも10年は大丈夫・・というようなことをに言われたことと、もうひとつ・・。友人が進行した大腸がんの治療で外照射を受け重い障害が出たというのを知っていたので、私は外照射治療自体に不安を持ってたということもあります。

あなたが選んだ治療法は?

私は症状も軽く、薬も飲んでいたことからあまり積極的に治療をするということを考えていませんでした。しかし友人から勧められた本「前立腺ガン最善医療のすすめ」を読んだところ、外照射併用小線源という治療法があることを知り、積極的な治療を受けてみようという気になりました。本に紹介されていた東京医療センター 斉藤先生宛ての紹介状を持って診察を受けました。幸い小線源治療が適用できるとわかり治療をお願いしました。

治療法:外照射併用小線源治療
医療機関:東京医療センター

東京医療センターでは再度の生検とMRI検査があり、その後5月に小線源治療を受けました。小線源治療のプレプランは尿道カテーテルの挿入はなかったため楽でしたが、実際の小線源治療の時のカテーテルは苦痛でした。内分泌治療は小線源治療の時点で終わりになりました。小線源治療後の外照射は25回(1.8×25=45gy)です。東京医療センターと相談し、隣町の病院で外照射を受けました。

その治療法に決めた一番の理由は何でしょう

本の内容だけでなく、友人からも積極的な治療を勧められたことです。また、内分泌治療の影響で体重の増加、毛髪が増える、ホットフラッシュ、手の痛みなど一通りの症状が出ていました。手の痛みやホットフラッシュが内分泌治療の副作用によるものだと聞き、それをなくすためにも本格的な治療にを受け内分泌治療を終わりにしたいと考えました。

あなたからみなさんに伝えたいこと

小線源治療自体は苦痛もなく楽なものでした、しかしその前に行われる麻酔の体勢が上手くとれず痛かったのを覚えています。今月外照射が終わりましたが、その影響で頻尿になっています。また小便をがまんしている時に少し尿が漏れることがあります。(これは、治療前からも多少ありましたが・・)直腸の痛みや出血に関してはいまのところありません。全体的に考えてみるとこの治療を受けてよかったと思っています。

栃木 石さん74歳

このページは直接インタビューしたものを、私が書き起こして掲載したものです。ホットフラッシュや手の痛みが内分泌治療によるものだとはご存知なかったとのことでした。胸毛やすね毛は少なくなり髪の毛はふさふさ、肌つやもよくなるなどの変化に加え、治療前からの肥満傾向もさらに増しているとのことですが、内分泌治療が終わった現在、少しずつ以前の状態に戻ってゆくのでしょう。インタビューにお答えいただきありがとうございます。

参 照

国立病院機構 東京医療センター – 泌尿器科
高リスク前立腺がんでも根治が可能なトリモダリティ治療とは? | がんサポート