トリモダリティ│滋賀医大 大阪 林

前立腺がん治療を経験された方の体験談 大阪、林 さん

がんが見つかったきっかけは?、また、どんな治療を勧められましたか?

 父親が前立腺がんで亡くなったのをきっかけに、できるだけPSA検査を受けるようにしていましたが、5年ほど前からPSAの上昇が見られるようになりました。

 大阪市内の総合病院で精密検査を受けた結果、前立腺がんが見つかり、摘出手術と放射線外照射治療についての説明を受けました。
 私自身は、最初は摘出手術するつもりでしたが、インターネットや本を見て、完治させるためにはトリモダリティ以外に治療方法はない、と気づき、担当医に「小線源治療を受けたい」と言ったところ、「うちは小線源治療はしていませんが、ご希望の病院があれば紹介状を書きますよ。」と優しい言葉をかけていただき、途中、遠回りもしましたが、最終的には滋賀医科大学の岡本先生にたどり着くことができました。

 PSA: 35
 グリソンスコア:9
 陽性率: 14%(生検14本中陽性2本)
 T分類: T2a
 診断時年齢: 63歳
 治療年月: 2017年8月
 触 診: 異常はありましたか?
     触診で異常はありませんでした。
      

あなたは、どの治療を選びましたか?

 会社の健康診断では、長い間、PSAは低い値でしたが、57歳の時、「PSA3.9」となりました。しかし、健康診断結果には「(基準以下)異常なし」と書いてありました。
健康診断の問診医に「基準より0.1低いだけなのですが、これって本当に大丈夫なのでしょうか」と聞いたところ、「前立腺炎でもPSAは高くなるので、PSAが高いからと言ってがんとは限りません。いずれにしても、前立腺がんは進行が遅いがんなので心配は要りませんが、検査だけは定期的に受け続けてください。」ということでした
 別の機会を捉えて他の医師にも聞きましたが、大体同様のことを言っておられ、PSAもその後、一時的に下がった時もあって、「多分、前立腺炎なのだ」と勝手に思い込み、すっかり油断してしまいました。

 結局、精密検査を受けたのは4年後の61歳になってからで、せっかく早期発見したのに、PSAはすでに12まで上昇していました。
 精密検査を受けた大阪市内のT総合病院のH医師は、最初から前立腺がんの可能性を疑っておられ、最初の生検でがんは見つかりませんでしたが、翌年、「また生検をやりましょう」、と言われました。(多分、その時、私は露骨にいやそうな顔をしていたと思います。)
しかし、次の生検でがんが発見され、H医師から「次回の診察までに、治療方法を選択してください」と言われました。
 私の場合、限局がんという診断でしたので、摘出手術してしまえば後腐れがないはず、と思っていましたが、インターネットや本でいろいろ調べて見ると、高リスクの場合、摘出手術を受けた患者の約半数が再発しているというデータが書かれており、愕然としました。

 何か良い方法はないか、

いろいろ調べた結果、トリモダリティが一番良いということがわかり、翌週、「小線源治療を受けたい」と言ったところ、H医師は「いろいろと調べられ、希望の病院があるのですね。うちは小線源はしていないが、ご希望の病院に紹介状を書きますよ。」と優しい言葉をかけていただきました。初期から前立腺がんを疑い、生検の本数を通常より増やして見つけていただいたり、患者が言いだしにくいことを察知して紹介状の話を切り出してくれたり、今でもH医師には感謝しています。

 ただ、その時失敗したのですが、治療方法の選択も重要だが医師の選択が重要なのだ、ということがこの時点ではわかっていなかったため、トリモダリティの治療実績をホームページに公開してアピールしている病院の中で、通院しやすいところ、という基準で考え、近くのH医科大学病院への紹介状を書いてもらいました。
 ところが、H医科大学病院へ行きトリモダリティを希望すると、「あなたの場合は摘出手術が一番適しています」、と言われ、来るところを間違えたとすぐに気づきました。
「トリモダリティ以外は考えていないので、滋賀医科大学病院への紹介状を書いていただけないでしょうか」、と言い、結局、遠回りして滋賀医科大学へとたどり着きました。

 ただ、この時、思ったのですが、H医科大学病院の公開情報では、完治率は公開していないものの、トリモダリティも放射線外照射治療も多くの実績があるようでした。それなのに担当医が摘出手術にこだわったことにひっかかりを感じ、理由はいろいろあるにしても、当たった医師により自分の得意な治療方法を勧めるのだろう、とその時、思いました。ということは、滋賀医科大学へ行っても、最初に当たる医師によっては手術を勧められるかもしれない。おそらくいったん滋賀医科大学で別の医師に診てもらうと、途中から岡本先生に回してもらうことは難しいかもしれない。その時はせっかく岡本先生がおられるのに、また他の病院を探さなくてはならないかもしれない。いつまでもそんなことはしておられない、と思い、H医科大学には「紹介状は泌尿器科ではなく、前立腺癌密封小線源外来の岡本医師宛にしてください」と頼み込みました。

 そして、やっと岡本先生のところにたどり着いたのは、2016年の9月、PSAはすでに35まで上がっており、グリソンスコア9という状況でしたが、最初の診察を受けたその日のうちにホルモン治療を始めていただきました。
岡本先生のお話では、「PSAの上昇速度が早いこと、グリソンスコアも高いことから、摘出手術では間違いなく再発するケースです」とのことでした。

 現在の心境としては、

「前立腺がんは進行が遅いがんなので、あわてなくても大丈夫」と言われた言葉を真に受けて、のんびりしていた自分が悔やまれます。人によって違うんですね。
滑り込みセーフだったのか、あるいはもうアウトなのか。
 完治を目指して、一番確実な治療方法と医師を自分で探し、選択しました。これでだめならそれは運命、でも岡本先生の治療なら絶対大丈夫、再発はしないはず、と現在、思っています。

治療後の経過、感想など自由にお書きください

差し支えなければ、男性機能はどうなりましたか?、教えてください。

 男性機能については、ホルモン療法の時は、射精はできないが勃起機能の方は大丈夫な状態というのは確認できましたが、小線源治療・放射線外照射後は、とてもそのような気分にはなれず、まだ試したことがありません。

 副作用については、

ホルモン療法ではほとんど副作用がなく、小線源治療では尿の出方がかなり悪くなったものの、特に気になるほどではなかったのですが、放射線外照射後は副作用に苦しんでいます。
とにかく尿も便も残留感がひどく、何度でも行きたくなる。おまけに生まれて初めて痔になり、何度もトイレに行くたびに痛さで体力を消耗していきます。現在、サラリーマンで仕事をしていますが、幸い職場の近くにトイレがあるものの、切迫便に追い立てられてトイレに入ったら、先客で個室がすでにふさがっていた時は、思わず絶望の声を上げそうになります。
 紙オムツをはいているので、どうしようもない時は仕方がないのでそのまま漏らします。個室が空いたら、お尻を拭いて、紙オムツを履き替えます。最近の紙オムツはよくできているので臭いはほとんどわかりませんが、漏らしてしまうと部屋に戻ってイスに座ることができないので、別のトイレを見に行くか、トイレ付近で休憩しているふりをしています。
 最後はながながと汚い話で終わり、すみません。現在、私にとって一番切実な問題です。


大阪、林

インタビューへの回答 ありがとうございます
林さんから
「自分が治療を受けた時、初めての体験で何をされるのかもわからない一寸先は闇の中で、じぇんじぇんがんの体験記を見ておぼろげながら、ああ、この先はこんなことが待っているのか、ああ、ここさえ乗り切れば何とかなるな、ということがわかり、ずいぶん助けられました」
とお聞きして、嬉しいような、気恥ずかしいような気持ちです。投稿ありがとうございました。
私が、癌だと言われた時、トリモダリティ治療を受けるって、どんななんだろうと思っていましたが、なかなかネットでは患者からの情報が見つかりませんでした。「じぇんじぇんがん」は、そんな方に伝えられればいいなと思ってが書いています。読んでいただきましてありがとう。

小線源+外照射│東京医療センター 渕浪

前立腺がん治療を経験された方の体験談 渕浪敏明 さん

 初めまして、千葉県君津市在住の渕浪敏明と申します。1950年生まれ、現在67歳です。2015年末(12月28日)に初期の前立腺ガンが発見され、現在、東京の東京医療センターに通って、放射線治療後の経過観察中です。

 実際の治療は2016年5月半ばに3泊4日の入院で、小線源内部照射を、7月、8月の5週間入院して、放射線外部照射の治療を行いました。
詳しい経過は、おってゆっくり説明させていただきますが、まずは、簡単に自己紹介をさせてください。

 私は岡山県備前市に生まれ、高校は岡山市、大学は京都市で過ごし、就職は新日鉄で、主に工場の制御用コンピュータの開発に従事していました。転勤も何回かあり、君津から北九州、君津、山口県光、君津と移動し、ある事情で49才のときに、新日鉄を中途退社しました。以後は個人事業主として、個別のソフト開発の仕事をしてきました。

 60才頃になり、林住期(定年退職後の人生)をいかに生きるかを、模索しておりました。趣味は読書、将棋、プロ野球のホークス応援といったところでしょうか。最初、自分の林住期プロジェクトとして「将棋ファン拡大プロジェクト」に挑戦しましたが、どうもうまくいかず、次に「読書ファン拡大プロジェクト」にも挑戦しましたが、これもうまくいかない。そういったところで、私が前立腺ガンになったのです。

 すぐに前立腺ガンの話に入る前に、それまでの私の主要な病歴をご紹介したいと思います。11年前に急性膵炎で緊急入院し、一時命も危ないときがありました。最初の2週間ぐらいは、非常に痛みが強く痛み止め注射もほとんど利かず、苦しかったです。原因はハッキリしませんが、私の膵臓には膵石が多くあり、正式病名は「慢性膵炎の急性増悪」というものです。
 7年前には、胆のうの石と膵臓の石が飛び出て、詰まり、腹痛を起こして合計6回も入院しました。3回が胆のう、1回が膵臓、5回目は胆のう除去手術(開腹)、6回目は外部衝撃波で膵臓の石を砕いて除去しようとしましたが、私の石(意志???)が固くて、先生がアキラメ、先生からは「渕浪さん、膵臓の石はそーっと墓場まで持って行ってください」と言われております。この6回の入院中の主治医が君津中央病院の藤本先生で、非常に信頼でき、尊敬もしております。退院前日には、今回の処置の経過を詳しく説明してくださり、私からの質問にも丁寧にお答えくださいます。私は、この先生に私の消化器をあずけようと思いました。

がんが見つかったきっかけは?、また、どんな治療を勧められましたか?

 では、本題の前立腺ガンのお話にいきましょう。
2006年君津市のPSA検査で2.77となり、君津中央病院泌尿器科で検査し、エコーで問題なしと判断される。2010年、PSA=6.299、 2011年、PSA=7.201、9.9 となったが、医師は前立腺肥大があるのでこの程度は問題ないだろう、定期的にPSA検査し、10を大きく超えたときに受診しなさい、と言われた。<これは、今から考えると問題で、ここで少なくとも針生検すべきだったと思われる>
 以後、消化器で半年毎に血液検査でPSAを測定していたが、2014年にPSA=13.45となり、藤本先生から泌尿器へ行くよう指示される。自分の怠慢で泌尿器にいかず、2015年にPSA=18.4となり、あわてて泌尿器へ。針生検を勧められるが、どの病院にするか迷っていると3ヵ月後にPSA再検査して決めることになった。またPSA=19.3なので、千葉大学病院で針生検することにした。

 千葉大学病院では、触診とエコー検査、MRI検査を実施し、PSA=15.54。2015年12月11日から1泊2日で針生検。12月28日に結果を聞きにいくと、8箇所中1箇所でガン発見、グリソンスコアは3+3=6、RIとCTで外部転移は無し。

 これ以降は、約2週間で治療方針を決めるまでの、猛勉強をドキュメンタリー風に記述する。

ガン告知されたとき、私の場合は、ショックを感じる暇もないほど、スイッチが入りましたね。これは、一大事だ。ここで選択を誤ると、命も危ない。(息子?の命も危ない(笑))

年末の12月28日にガンを告知され、1月14日までに、方針を決めなければいけませんでした。もし、主治医がヤブで、僕が勉強不十分だったら、主治医のイイナリになり、一生後悔をするかもしれない。2週間、猛勉強しましたね。こんなに必死になったのは、生まれて初めてです。インターネットで調べまくり、本も読みまくり。

それで、僕のような初期の前立腺内にとどまっている前立腺ガンには、前立腺内に小さな放射線を埋め込む小線源内部照射が一番いいとわかりました。これは、ヨウ素を埋め込むのですが、放射線の到達距離が5mmまでと、外部に弊害を与えず、かつ前立腺内の局所ガンは壊滅させる、優れものなんです。
ただ、この治療を正確確実に出来る病院は、全国でも数少なく、関東では、東京医療センターと調べつくしました。

千葉大学病院に通っていたのですが、2016年1月14日いよいよ治療方針を決める日です。先生から一通り説明をうけたあと、すぐに、小線源内部照射がいいのですが、 と言うと、先生は、では、うちには小線源内部照射のA先生がいるから、来週診察してもらいますかね。
すかさず、こちらの病院の小線源内部照射の実績はどの位ですか?と聞きました(非常に少ないと、事前に調べつくしていたので)。先生は(予想通り、)非常に少ないです、と答えられました。う~ん、という顔をすると、 治療実績が多い病院となると、都心までいかないとないですが、それには、全然かまいません、と答えると、どこかご希望の病院はありますか?と聞かれたので、すかさず東京医療センターがいいです。そこまでお調べなら、すぐに紹介状を書きましょう、来週取りにきてください。

以上が、主な顛末です。何事も準備が大事ですよね、なにせ自分の命がかかっているのですから。
自分の命は自分で守る、、、これが鉄則です。大学受験時代の10倍も必死で勉強しました。
今まで、だらだらと生きてきたので、久しぶりに大学受験時代を思い出しました。また、まだまだやればできるじゃない、と自信も深めました。

このようにスムーズに短期間で方針が決定できたのも、腺友倶楽部の諸先輩の皆さんの有益なアドバイスがあったからだということは、いくら強調してもし過ぎるものではありません。

東京医療センターの斉藤史郎先生の診察を受け、内部照射+外部照射となる。2016年2月3日には静脈性腎盂造影(IVP)検査と前立腺超音波検査を受けました。

今回、自分が前立腺ガンになってみて一番感じたっことは、私の場合、タマタマ早期に腺友倶楽部を発見し、相談できたからいいようなものの、パソコンが使えないなど情報格差のあるシニア層の人達にとって、有益な情報の入手が簡単ではないように思う。そういう場合、医師のいいなりになって、不本意な選択をしたと、後で後悔することもあるのではないか? そのような人達をこの素晴らしい腺友倶楽部に道案内するような仕組みがうまく、できないものか。前立腺ガンだけでなく、他の病気でも、同じことである。医療分野に限定しなくても、いろんなニーズとシーズを結びつける道案内人(ブリッジ役)の必要性が、これからの情報時代、より大きくなってきたと感じる今日この頃である。このあたりの貢献に一役かうような林住期のプロジェクトを、今模索中です。

 PSA:15.54
 グリソンスコア:3+3=6
 陽性率: 12.5%(生検 8本中陽性 1本)
 T分類:
 診断時年齢: 65歳
 触 診: 異常はありましたか?特になし

あなたは、どの治療を選びましたか?

東京医療センターの斉藤史郎先生。
小線源+IMRT。
患者情報のアドバイスと、インターネットと本の勉強より決定。

治療後の経過、感想など自由にお書きください

PSAは徐々に下がってきている。
2015/11/16 15.54
2016/1/27 29
2016/3/30 3.16
2016/8/31 3.31
2016/11/2 4.21
2017/4/19 1.83
2017/7/12 1.69

差し支えなければ、男性機能はどうなりましたか?、教えてください。

男性機能は、射精が全くできなくなった。快感が途中で中断して、不満足。


渕浪敏明

インタビューへの回答 ありがとうございます
PSAが上昇した時、どのくらいの値で生検を受けるのを勧められるかは、担当医によって随分違いますね、渕浪さんの場合は結果的にPSA18.4まで待つことになってしまいました。それでも生検時のPSAは15.54、陽性コア数 8本中 1本、グリソンスコア6ですから、初期で見つかって幸いでした。
癌と言われた時、医師の言葉を絶対だと思わずに、自分自身でも治療法を探すことが肝心だと思いますが、それがなかなかに難しいですね。
渕浪さんは、癌だけでなく、さまざまなことにアクティブに取り組まれています。フェイスブックでは公開グループ「雑談未来カフェ」の管理人をされているとのことです。

小線源治療│静岡がんセンター 62歳Y.S

前立腺がん治療を経験された方の体験談 沼津Y.S. さん

がんが見つかったきっかけは何でしょう

父が前立腺がんでなくなったのと兄が前立腺がんで摘出手術をしたこと、それと術前の3年ほど前からPSAが5~6位の値だったので生検をしたところガン細胞が見つかりました。

PSA: 5.50
グリソンスコア:7(4+3)
年 齢:62歳
リスク分類: 中間リスク

どんな治療を勧められましたか?

全摘手術を勧められましたが、知り合いのアドバイスからIMRTを勧められました。検査した病院ではその設備がないので設備のある病院を紹介されました。
行ってみるとそこには設備はあるが、IMRTをするには位置決め等で時間がかかり患者さんをこなせなく当時の医療スタッフ体制ではできないと言われました。
そこでいろいろご意見を聞き小線源治療を受けることに決めました。
本当はグリソンスコア4+3の場合は小線源治療はできないと言われたのですが私のたっての希望と、担当の泌尿器科の先生それと放射線の先生との話し合いでしてもらえるようになりました。
小線源治療をして頂けるということでとても嬉しかったです

あなたが選んだ治療法は?

小線源治療はシードを65本ほど埋入しました。
駿東郡長泉町の静岡がんセンターで行いました。

その治療法に決めた一番の理由は何でしょう

私の友人(彼も前立腺がんでIMRTの治療を受けた)のアドバイスです。
3ヶ月に一度定期検査をしていますがPSAは上下を繰り返し現在3弱です。

PSAの推移

numazu-ys_psa

あなたからみなさんに伝えたいことがありますか。
差し支えなければ治療後の男性機能についても教えてください。

治療後の排尿障害とか無かったのですが、排尿治療薬か何かが原因でアレルギーに悩まされました。
幸い男性機能は失われていません。
PSAがなかなか下がらないのが気にはなりますが、担当の先生を信じています。
この治療を選択して良かったと思っています。

沼津Y.S.


インタビューへの回答 ありがとうございます。
お父さんだけでなくお兄さんも前立腺がんとなると、いつか自分もという不安がずっとあったに違いありません、大変でしたね。
PSAの推移をお送りいただきありがとうございます。放射線治療の場合はPSAバウンスもあり、すんなり下がるわけではないと聞きますが、まだしばらくは様子見ということでしょうか。治療後の排尿障害がなかったようですが、みなさんそれぞれなんですね。
男性機能についても書いていただきありがとうございます。「失われていない」と聞き同じ治療の私も元気がでます。

小線源単独療法│滋賀医大 愛知K

前立腺がん治療を経験された方の体験談 愛知60歳、KK さん

がんが見つかったきっかけは何でしょう

 市の健診で要精密検査となり、地元の総合病院で生検を受けがんが見つかりました。

検査結果
PSA: 7.9
グリソンスコア: 7(3+4)
陽性率: 30%(生検は10本中3本で陽性)
触 診: 大きさ、硬さとも異常なし
年 齢:60歳
リスク分類: 中間リスク

どんな治療を勧められましたか?

 地元の総合病院の先生からは、手術(開腹・ダビンチ)、外部照射、小線源治療の3つの治療法の概要とその先生の手術(開腹手術)の成績について1時間程度説明していただきました。手術後再発した場合は放射線治療が可能だが、その逆はできないので、手術の方が戦う武器が多いという言い方で、やんわりと手術を勧められました。
 この時点では、初診から約2か月経っており、自分なりに調べて、小線源治療を受けることに決めていました。

あなたが選んだ治療法は?

 初めて地元の総合病院を受けてから生検実施まで約3週間、その後がん確定まで約3週間あったので、この間に本やインターネットで治療法について調べました。

 治療の候補として、最初は開腹手術を考えましたが、ダビンチという遠隔操作の手術の方が体への負担が少ないことがわかり、手術ならダビンチでと思いました。
 粒子線治療は尿漏れの心配もなく体への負担がもっと楽だということがわかりましたが、前立腺は常時動いているので粒子線がきちんと当たらない場合があるとの話を聞いてやめました。外部照射は、健全な臓器への照射が避けられず、感覚的に嫌だったので最初から選択外でした。

 購入した本の中に「前立腺ガン最善医療のすすめ」という小線源治療に関する本がありました。それによると、手術の場合、摘出しても断端陽性であれば再発してしまう可能性があり、それは切ってみないとわからないとのことで、手術に不安を感じました。また、小線源治療は手術よりも体への負担が少なく尿漏れもないことから、この治療が最もよいと考えました。

 それからどこの病院で受けるかを決めるために、愛知県でその治療を行っている病院4か所、「最善医療のすすめ」の中で紹介されている病院から通院しやすい病院を3か所選んでホームページで実績等を調べました。
 その中で、滋賀医科大のホームページでは小線源治療に関する詳細な説明が記載されており、また一般的な施設に比べて線量が高いため再発率がきわめて低い旨の記載があったことから滋賀医科大で治療を受けることを決め、岡本先生にメールでお願いしました。
 なお、滋賀医科大についてはこのサイトの情報も大いに参考にさせていただきました。

その治療法に決めた一番の理由は何でしょう

 小線源治療を選択した一番の理由は、再発の観点です。医学的には手術、外部放射線、小線源治療ともに同等とされているようですが(※ 1)、手術の場合、せっかく大きな身体的負担に耐えても、断端陽性であれば再発する可能性があるということが一番の不安でした。また、小線源治療は体への負担が少ないこと(具体的には、体を切らないこと、尿漏れがないこと、入院期間が短いこと)も大きな理由です。

 治療は3泊4日で、2日目に線源刺入、3日目にカテーテル抜去でした。私の場合、カテーテル抜去後は自力で排尿できたにも関わらず、退院日の朝、尿が出なくなり、看護師さんに見守られながら自己導尿するはめになってしまいました。稀にあるようですが・・。

退院後は愛知県まで、家内と交代で車を運転して帰りました。退院後10日ぐらいは、股間が腫れた感じで座ると多少痛みがあり、またおしっこの勢いが弱くなりました。これらは放射線の影響ではなく会陰部から針を刺したことによる影響だと思います。3週間後くらいからおしっこが近くなったような気がします。また、勢いは弱いままでこのあたりは放射線の影響かと思います。
1か月後に2時間の映画を見に行ったところ、30分くらいで尿意を感じ心配しましたが、なんとか最後まで見られました。また、1か月半後にスキーに行きましたが、特に支障はありません。
 普段の生活に不便はありませんが、長時間トイレに行けないような状況は避けるようにしています。先生からは放射線の影響は治療後1年ぐらいで収まると聞いています。

あなたからみなさんに伝えたいことがありますか。
差し支えなければ治療後の男性機能についても教えてください。

 今の段階では滋賀医科大でこの治療を受けられたことに満足しています。将来のことはわかりませんが、何かあったとしても、選択した時点では最良の方法を選んだと考えています。

 男性機能については、治療後10日位は全く元気がありませんでしたが、そのうちに、朝立ちするようになりました。治療の結果、前立腺の細胞が精液を作らなくなると聞いていたので出してみましたが、出そうな感覚はあるものの何も出ず、変な感覚でした。
 このあたり、人によって大いに感じ方に差がある所ですが、「まあ、しゃあないなー」と思っています。

愛知県 KK


愛知県 KKさん、インタビューにお答えいただきありがとうございます。

 ※ 1 医学的には手術、外部放射線、小線源治療ともに同等
中間リスクまでならそう説明されることもあるんですね。じゃ、どの治療法を選んでも同じ治療成績なのかと言うと、医療機関ごとの技量のばらつきがありますから、そんなことはないわけです。

 小線源単独だと治療後の痛みや排尿への影響が強いようですね。私は外照射併用小線源のためか、小線源では気になるような症状はありませんでした。

男性機能についての話、ありがとうごいざいます。私も小線源手術からしばらくして、試してみたら同じでした。しかし、小線源手術後に服用を開始した薬、ユリーフ錠(4mg)の影響かもしれません。ユリーフは排尿困難を改善する薬として処方されているのですが、副作用として射精障害があるとされています。私はある程度排尿の障害が改善した段階で、その副作用が少ないフリバスに変えてもらいましたが、まもなく服用をやめたためその効果はわかりません。
不思議なことに前立腺摘出手術をした方でも、射精感があると聞きました。小線源の場合も時が経てば、そのうちいける、んじゃないかと思います。

小線源単独療法│滋賀医大 kickoff

前立腺がん治療を経験された方の体験談 kickoff さん

大阪53歳 小線源単独から1年10ヶ月

がんが見つかったきっかけは何でしょう

 自覚症状等は全くなく、人間ドックでPSA値の高値を指摘され、大阪の病院で生検を受け前立腺がんと診断されました。

検査結果
PSA: 4.89
グリソンスコア: 7(3+4) T2bN0M0
陽性率: 31%(生検13箇所のうち4箇所に癌あり)
年 齢:51歳
リスク分類: 中間リスク

どんな治療を勧められましたか?

 生検を受けた大阪の先生から複数の治療方法を説明頂いたあとに「手術の後に放射線はできるが放射線の後に手術はできない。癌に対する武器は多い方がよい。手術で切りましょう。」と言われました。その時は納得し先生にお任せするつもりでした。

あなたが選んだ治療法は?

 告知を受け一度はロボットによる全摘手術に決めていたのですが、やはり再発、尿漏れ、男性機能等について、不安で不安でしかたくなく数日間、家に閉じこもりインターネットで体験談等を読み続けていました。
 そんな時、滋賀医大のホームページを発見し、正直あまり期待せず岡本先生にメールしました。すると間もなく先生から返信を頂き、それから色々な質問をさせて頂きましたが、その都度丁寧に回答を頂きました。
そして、滋賀医大で小線源治療を受けました。

その治療法に決めた一番の理由は何でしょう

 滋賀医大岡本先生との何通ものメールのやり取りで、かなり心は小線源に傾いてはいたのですが、初診時に色々な説明をして頂き、体験者の方と直接お話しする場を設定して頂いたりし、かなり現実味を帯びてきていましたが、それより何より先生から「絶対に完治します」と心強いお言葉を頂いた事で心は決まりました。

小線源治療後のPSAの推移
2014年
  1月 小線源治療 (治療前 4.910)
  2月 5.273
  4月 2.893
  7月 2.989
  10月 2.106
2015年
  1月 2.510
  4月 2.080
  7月 1.493
  10月 2.001

バウンスを繰返し、中々1.0以下にはなってくれませんんが、岡本先生から「今のPSAは全然気にしなくてもいいですよ。5年後に笑える治療をしてますから。」とおっしゃって頂いてますから、気にしないことにしています。とは言え、下がった時はやはりうれしいですけどね。

あなたからみなさんに伝えたいこと

 小線源治療は治療中も痛み等は全くなく、治療後に会陰部の軽い痛みにより座る時には円座の座布団を使用しましたが、10日目ぐらいからは排尿も含め何の問題もありませんでした。その後も日常生活に大きな支障を伴うものは特にありません。

 小線源治療の侵襲は生検と変わりないと思います。私の場合は生検の方が治療後の副作用は大きかったです。生検後二日目に尿道カテーテルを抜いたのですが、その後数日間、排尿時に激しい痛みがあり、充分な水分補給どころか怖くて水分が取れませんでした。又、麻酔の副作用で今まで経験したことのないような頭痛にも悩まされ一週間寝ていました。
 この経験から滋賀医大での小線源治療におけるカテーテル抜去後に恐る恐る排尿したのですが、少し血尿があるものの全く痛くありませんでした。勿論、麻酔による頭痛もありません。たかがカテーテルと思われるかもしれませんが、先生が細かいところまでいかに患者の身になって治療して頂けるかの違いであると思います。

 生検の大阪の先生もセカンドオピニンの話をしてくださったり人当たりも良く好感の持てる先生でしたが、「手術のあとに放射線・・・・」「排尿時の痛み等副作用は人それぞれで違うから」等の言葉は非常に寂しい限りです。
 私の選んだ小線源治療が正解だったのかどうかは、今後の経過次第で分かりませんが、色々な情報から自分自身で治療方法を選び、治療して頂ける先生とめぐり合えたのですから後悔はないと思います。

kickoff

治療後の経過をお寄せいただきました 2018年1月28日

先日、小線源治療後4年目の検診に滋賀医大へ行ってきました。
PSAの数値は0.218と順調に低下しているとのことでした。
ここに至るまでには何度かバウンスを繰り返し、多少不安な時期もありましたが、その対度岡本先生から「今の時期のPSAの上下は関係ない。5年後に笑える治療をしているので問題なし。」と、いつも強く言って頂き、その言葉を信じ何とか安心して4年過ごせました。
本当に有難く思っています。
岡本先生の治療で私のように治療後も安心して過ごせる患者が増えることを祈るばかりです。

kickoff


kickoffさん、インタビューにお答えいただきありがとうございます。
「手術の後に放射線はできるが放射線の後に手術はできない」と言われると、どうしても手術に気持ちが傾きますよね。ロボットによる全摘手術は体の負担も少なく機能温存にも優れるとされますから、手術はどんどんロボット支援の方向に進むのでしょう。しかし私は手術自体の不安よりも”手術すれば本当に根治できるのかどうか”が一番不安でした。
 
kickoffさんは小線源単独治療ですね。PSAの推移を興味深く拝見しましたが、なかなか下がらないものなんですね、それでも気にしなくて良いという先生の言葉通りなんでしょう。
最後に、こちらの不手際で、たいへん掲載が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。