小線源│岡本圭生医師の治療、現在

お知らせ:追記
岡本圭生医師の小線源治療は
石田記念大阪前立腺クリニック(2024年4月)
 
岡本医師は2019年末に滋賀医大病院を退職し、これに伴い小線源治療を中断していましたが、2021年8月より京都府の宇治病院泌尿器科において、新たな小線源治療を再開しました、その後2024年4月より石田記念大阪前立腺クリニックを開業し治療を開始します。
 
岡本医師による前立腺がんの診断・治療に関する宇治病院(前立腺小線源外来)での診察、および治療を希望される方は、以下の治療の説明をご覧いただき、ページ内に記載のメールから、直接、ご連絡いただければご相談させていただきます、とのことです。
▷ 前立腺癌密封小線源治療 岡本圭生
 
また、これまでに岡本医師の治療を受けた患者の皆様の診察に関して、さらに最近癌を告知され治療に不安を感じている患者の皆様への情報は、以下のページをご覧ください。
https://syousengen.net/brachytherapy-okamoto/
※ ブログなどで「岡本医師のページ」にリンクされている方はこのリンクに変更してください。

現在 滋賀医大では、泌尿器科による新たな小線源治療を開始

しかしながら・・滋賀医大には小線源治療の経験のある泌尿器科医はいないため、新たな小線源治療を開始するために、わざわざ他院から小線源治療のベテラン医師を招き、その立ち会いのもとで「経験のない泌尿器科医」が治療を行いました。・・なぜ、そこまでして治療をするのかというのが大きな疑問です。
2020年以降の、滋賀医大病院における「小線源治療」は、岡本医師と同水準の治療が提供されているわけではなく、これまでの岡本医師の治療とはまったく別の医療体制です。混同しないようご注意ください。

これは患者4人が大津地裁に”小線源の治療経験のない医師が治療をしようとするならば、それを事前に説明すべきである”と訴えているが、これに対する反証を得るためではなかったのかと思える。

患者の訴えはこうである

※ 医師は患者に対する説明義務を果たしていない
 
がんを告知された患者の誰もが願うのは「なんとか根治したい」ということである。このため治療の決断にあたっては、患者の権利として、病院から患者に対し”治療選択に関する十分な情報”が与えられるべきである。
 
医大病院では、小線源治療のベテラン医師がすぐ隣の診察室にいたのですから、患者の根治したいという願いを叶えるのは容易であった。泌尿器科は、少なくともそれを知らせるべきであるのに、それを知らせていない。・・あるいはベテラン医師の存在を伝える場合でも、治療を待つ患者で混雑しているなどマイナス要因を伝えるなどし、別の医師に患者を誘導し治療をさせようとした。
しかもこの時に、その担当医は小線源の治療経験がまったくない、ということを患者に伝えていないのである。
 
”患者の利益に目をつぶった治療の誘導”これは、あきらかに患者に対する背信行為であり、”治癒したいと願う”その当然の権利を侵害するものである。

患者よりも組織を守るという泌尿器科の体質

※ 論点は、未経験の医師の治療に問題があるかどうかではなく、根治性の定かでない治療に平然と誘導する泌尿器科自体が問題なのである。
 
この誘導は、一部の患者だけに行われたため、他の多くの患者はこれに気づかなかった。事実、問題が進行していた当時でも、他県から診察に訪れた患者は普通に岡本医師の治療を受けることができたのである。
 
しかし、おもに県内の患者さんは未経験の医師に案内された。その違いは「岡本医師宛の紹介状を携えていたかどうか」であり、単純に医大泌尿器科を紹介されて訪れた県内の患者は未経験の医師に案内された。

この訴えに対して、滋賀医大は、岡本医師は未経験の医師と同じチームであり、チーム医療であるから未経験を伝えなくてはならない理由はない。と主張 →しかし患者4人は、まったく岡本医師の診察を受けられなかったことがわかっており、チーム医療でなかったことは明らかである、つまりこれは嘘である。

また、滋賀医大はこのように主張している

小線源治療は放射線治療医が計画し、線源の挿入個数や位置は放射線治療医が指示しリードして行うものであるから、少なくともオーソドックスな小線源治療においては、それほど技量は必要としない。したがって未経験の医師であっても、それを患者に伝える必要はない。(病院側は、未経験であること、患者にそれを伝えてはいないことは認めている)

この主張は、小線源治療における根治性は、放射線治療医の治療計画が重要なファクタであって、手術を実施する医師の技量によってそれが左右されるわけではない。ということを言っているわけだ。滋賀医大は、これを実証しようとして未経験の医師に治療をさせているのではないかと思える。

最初は誰もが未経験、法的にも問題はないのでは、と考える方もいるかもしれないが、たとえば飛行機のパイロットは十分に訓練をしてからでないと飛行機を飛ばさないのと同様、十分な訓練なしにいきなり小線源手術を行うなどということは、”少しでも根治性の高い治療を受けたい”と願う患者の気持ちに反しているし、私には治療実験をしているに等しいとしか思えない。

小線源治療後に撮影された前立腺CT画像

さて、これは私が受けた小線源治療のCT画像です。白く写っているのはシード(線源)で、この1本1本は経直腸エコー画像とコンピューターによる線量分布画像の支援を得ながら、泌尿器科の医師の手で会陰に刺された細い針の先から送出、留置されたものです。前立腺自体はやわらかいものであり正確に留置するには多くの経験が必要とされます。


※ シード線源は5mmほどのチタニウム製で、およそ原寸です。私の場合前立腺は約20ccで、その前立腺内に61本のシードが埋め込まれています。この治療は高リスク以上にも対応するもので、実際に私は高悪性度の腫瘍とされ、NCCN分類では「超高リスク」の癌でした。

根治性は放射線治療医の治療計画が重要なファクタ

一方、”小線源治療における根治性は、放射線治療医の治療計画が重要なファクタ”であるという主張には同意する。
治療は、放射線治療医が計画し、放射線治療医のリードで行うというのは事実である。しかし、だからと言って「それほど技量は必要としない」ということにはならない。
放射線治療医の指示を正確に遂行できるかどうかは泌尿器科医の力量にかかっており、その手技の習得には多くの経験が必要とされると聞いている。十分な訓練なしに治療を行なえるという説明に根拠はない。実際には放射線治療医と泌尿器科医師がノウハウを共有しており、理想的な配置に近づけるには泌尿器科医からの適切なフィードバックも必要となる。

病院側の証言者は「少なくともオーソドックスな小線源治療」という限定条件をつけて、「技量は必要としない」と言っている。これは真実も含まれている。
このオーソドックスな小線源とは、従来から多くの病院で行われている「低リスク向けの治療」を言っているのだと思われる。実は、このオーソドックスな小線源治療では、腫瘍に照射する放射線量が低く、高リスクに対応できないばかりか、中間リスクであっても一定の割合(5から10%くらい)で局所再発を起こしてしまうレベルの治療であり、技量不足であるとも言える。
そう、つまり技量不足の治療と同じ水準であれば未経験の医師でもできる、と言っているにすぎない。

局所再発率ゼロを目指す治療であるからこそ

もし、岡本医師がそのような小線源治療を行っているのであれば、誰も遠方から滋賀に足を運ばない。局所再発率ゼロを目指す治療であるからこそ全国から患者が訪れているのである。このことは滋賀医大病院病院長自身も認識しているのだが、泌尿器科における患者の誘導を認めたくないばかりに、最も患者の利益となるであろう岡本医師の治療を消滅させたのである。

滋賀医大病院のホームページにある、信頼と満足を追求する全人的医療、というコピーが、まったくもって空々しい。


岡本医師らのチームが消滅した背景

岡本医師は、もともとは滋賀医大病院 泌尿器科の講師でした。10年以上前から小線源治療に取り組み、2015年頃には、高リスク(超高リスク)であっても高い根治性(5年非再発率が楽に90%を超える)が得られることで知られており、全国から患者が訪れ、当時は、年間140例程度の小線源治療が「岡本医師を核とするチーム」によって行われていた。
 
一方 他の泌尿器科の医師による前立腺がん治療は、おもにダビンチによる摘出手術で年間40例程度、他には放射線科による外照射治療が少しある。
 
泌尿器科全体の治療より、ひとりの講師が率いるチームのほうが治療数、根治率とも圧倒しているという状況に、泌尿器科学講座(泌尿器科)教授は苦々しく思っていたのではないか、と考えるのが自然でしょう。
この状況に、泌尿器科との連携が困難と考えた大学側は、2015年に岡本医師を特任教授として泌尿器科から独立させました。
 
ところが、ほぼ同時期に、泌尿器科は独自に小線源治療を開始するように動き、患者の一部を小線源治療未経験の医師にまわしたのです。およそ目的は新規の小線源とダビンチで、患者数を増やすことを考えたのでしょう。
 
病院及び泌尿器科は、患者の根治を最優先に考えれば、岡本医師らのチームを支援すべきでした。しかし現実には数十人以上もの治療を待つ患者がいるのを承知で、治療を打ち切る方向に動きました。
病院は「患者の命を守ること」を優先すべきであるのに、現実には違う何かを守っているようです。
 
この問題に対し、私達患者は患者会を結成し病院に話し合うように何度も求めましたが、一度も話し合いに応じてくれませんでした。結局、岡本医師は2019年末で医大病院を退職し、2021年から宇治病院に勤務、2021年8月から新たな小線源治療を開始しています。
この件に関しては、以下のページにも書いてあります。
>>優れた小線源治療を未来に残すために

私が入院した当時、滋賀医大病院の医師、看護師とも非常に親身に治療、看護をしていただき、本当に感謝している。良い病院であると信じていたのに、このような記事を書かなくてはならなくなったのは本当に残念である、病院の意思決定を握る一部の方の判断ミスが多くの医師、看護師、患者に混乱を与たのが本件なのである。