前立腺癌の進行には男性ホルモン(アンドロゲン)が深く関係しているので、これを薬によって遮断することで前立腺癌の進行を抑制し腫瘍を縮小させるのが「ホルモン療法」です。特効薬的な効き目があり劇的にPSAが下がります。
トリモダリティなどでの放射線治療の前に行うホルモン療法を「ネオアジュバント」といい、放射線治療の効果を増す作用があるとされています。また「ホルモン療法」は肥大した前立腺の縮小にも効果があります。
但し「ホルモン療法」にはさまざまな副作用があるため、担当医によれば、できるだけ使用しない方向で考えているとのこと。高リスク、超高リスクにはトリモダリティのネオアジュバント療法として使われますが、最近では高リスクの一部、及び中間リスクでは小線源単独か、外照射併用による治療という場合も多いようです。
複合アンドロゲン阻害療法
CAB療法開始
2015年、秋から内分泌治療を開始。このホルモン療法の効果は絶大で、小線源治療前であるのに、ひと月で一気に0.3以下にまで下がり、少し足踏み、さらに3ヶ月でその半分の約0.15に下がりました。
凄い効果と思われるでしょうが、これでも他の方に比べ下がり方は悪いくらいです。同じ治療の何人かの話を聞くと、多くの方はもっと劇的に(0.1以下というレベルまで)低下するようです。
PSAの推移
PSAの推移
2011年 5月12日 0.7 集団検診
2012年 - – – – –
2013年 8月17日 1.6 集団検診 — PSADT 20ヶ月 —
2014年 6月16日 3.2 集団検診 — PSADT 10ヶ月 —
2014年 8月08日 2.978 Tがんセンター 初診
2014年 9月26日 3.300 Tがんセンター
2014年11月26日 3.501 内分泌治療開始 滋賀医大
2014年12月24日 0.286 (↓1ヶ月経過)Tがんセンター
2015年01月26日 0.321 (↓2ヶ月経過)Tがんセンター
2015年 2月19日 0.154 (↓3ヶ月経過) 滋賀医大
※太字は、ホルモン療法の効果によるPSAの低下
トリモダリティは、小線源治療に先行して3ヶ月以上の内分泌治療から始まり、小線源治療、外照射と続くため他の治療法に比べて診察回数はかなり多くなります。CAB療法(内分泌治療)開始から小線源治療までに受けた診察は4回です。小線源治療にほとんど不安はありませんでした、むしろ楽しみに待っていたくらいです。
トリモダリティ(小線源治療+外照射治療+内分泌治療の併用療法)
治療スケジュール 2014年
11月26日:CAB療法(複合アンドロゲン阻害療法)開始
リュープロレリン注射、カソデックス服用開始
治療スケジュール 2015年
2月19日:診察、CAB療法3ヶ月目(継続のため注射)
↓
プレプラン(小線源の計画のための診察)
↓
小線源治療(入院、3泊4日)
小線源後も6ヶ月間の内分泌治療が続き、それが終わると治療が完了です。
note
待機期間 : 滋賀医大(岡本先生)では治療希望患者が多く、小線源治療を受けるまでにしばらく待たなくてはなりませんでした。それでも高リスク、超高リスクへのトリモダリティの場合は、あらかじめ内分泌治療(ホルモン治療)を開始し、その後に休薬期間をおき、再び小線源治療の数ヶ月前から投薬というスケジュールになる場合が多いため、小線源治療の計画が1年先だったとしても、休薬期間は数ヶ月であり、その間も内分泌治薬の効果は残っておりPSAは抑えられていますから悪化の心配はまずありません。
中間リスク、高リスクへの小線源単独治療の場合は、そう長期間待機というわけにもいかないので、進行度や悪性度に応じて治療予定が組まれるものと思われます。グリソンスコア6などの低リスクに対しては、ただちに治療が必要とされないことからアクティブサーベイランス(PSA監視療法)とされる場合が多いようです。
ホルモン療法 : トリモダリティの第一段階として複合アンドロゲン阻害療法(CAB: combined androgen brockade)と呼ばれる男性ホルモンを抑制する治療から開始しています。
精巣から分泌される血液中の男性ホルモン値を低下させると、前立腺がん細胞の多くは死に至ります。・・しかしながら、男性ホルモンは副腎からもわずかに分泌されているため、完全にゼロにはなりません。副腎から分泌される男性ホルモンの働きは、抗アンドロゲン剤によりブロックすることができるため、アンドロゲン除去療法と抗アンドロゲン剤を併用することもあります。この治療法は複合アンドロゲン阻害療法(CAB: combined androgen brockade)もしくは最大アンドロゲン阻害療法(MAB: maximum androgen brockade)と呼ばれています。
→ 順次薬物療法(前立腺がん)- 東京医科歯科大学大学院
次はプレプランの話なのだが、少し時間を戻してセカンドオピニオンの話を。