前回の診察で、いきなり転移の可能性もあるとされて驚きました、
さて今回のPSAはどうなったかと言えば・・
外照射治療後27ヶ月目の診察
今回の診察でも「先に採血をするように」と指示されました。前回のPSAは2.770です、それからどのくらい変化しているのだろう?。採血後しばらく待たされてから放射線治療の担当医の診察を受けました。PSAは前回よりさらに少し上がり2.866でした。グラフにプロットしてみると、きれいに増加傾向。いつまでも増加傾向では困るのですがねぇ(2017年 9月20日)
放射線治療後のPSA再発「最低値+2.0」で判断
前回の投稿で、放射線治療後の経過観察で、PSAがnadia値(治療後の最低値)から2ng/ml上昇した場合をPSA再発とみなすが、「PSAバウンスもある」ので、基準値を超えたからと言って即再発というわけではない、と書きましたが・・・担当医の話からそれが間違っていたことに気づきました。
「最低値+2」というのは基準値ではなく、放射線治療後におけるPSA再発の定義なのだそうです。つまりPSAが「最低値+2」を超えたらPSA再発とされる
私の場合nadia値(治療後の最低値)=0.007ですから、PSAが2.007を超えた時点で再発とされることになり、私は、すでに9ヶ月前から「PSA再発患者群の1人」とされていたことになります。
では、この上昇が「PSAバウンス」であって、今後PSAが2.007を下回ったらどうなるかと聞いてみたら、その場合は「PSA再発を取り消す」のだそう。なんと「取り消し」もありなんですね、驚きました。
微増だが、そう悪くはない動き
さて、このPSAの増加をどう見るかですが・・岡本先生の話では、増加の速度も鈍いので「そう悪くはない動きだとは思う」という話でした。微妙な表現ですねぇ、依然として転移の可能性は否定されていないが、強まったわけでもない、ということでしょう。引き続き3ヶ月ごとの経過観察が続き、次は12月の診察とされました。
トリモダリティー場合は、ホルモン治療の影響もあるため、小線源単独に比べると治療後のPSAの動向を評価するのは難しいとのこと。今回もテストステロンの回復に伴うPSAのリカバリー、あるいはPSAバウンスだとは思うが・・という前回同様の話でした。
PSAとテストステロン(TEST)の推移
2015年 3月24日 小線源治療
2015年 5月11日 外照射治療開始(6月15日迄)
2015年 9月16日 0.007 TEST 0.12 内分泌治療終了
2015年12月17日 0.010 TEST 0.10 治療後 6ヶ月
2016年 3月17日 0.030 TEST 0.16 治療後 9ヶ月
2016年 6月16日 0.199 TEST 2.48 治療後12ヶ月
- - - - PSA再発 - - - - -
2016年12月22日 2.353 TEST 5.40 治療後18ヶ月
2017年 6月14日 2.771 TEST 4.16 治療後24ヶ月
2017年 9月20日 2.866 TEST ー 治療後27ヶ月
2017年12月27日 治療後30ヶ月 予定
転移が心配??
これまでに、何人かの方から転移が心配でしょう、という連絡をいただきました。ありがとうございます。それでも、私自身はほとんど不安を感じていません。というのも、局所制御は完璧だから前立腺内の癌の再発はない、ということが大きな安心感になっており、もし再発しても、それはしかたのないことと考えている、と治療の最初の頃にも書きましたが、今でもその気持ちに変わりはありません。
放射線治療では、PSAの僅かな動きに一喜一憂してはいけません、と言われますが、私の場合、いまだに一度もPSAが下がったことがないので、「一憂」のみということになる。
PSA再発を心配されている方へ
小線源治療を受けた患者さんで、PSA再発ではないかと心配されている方は、以下をお読みください。
高リスク患者に対しても積極的に小線源治療を適応するなど、信頼度の高い小線源治療を行っている病院が前提であるが、
局所制御は完璧|つまり小線源治療における局所再発はないと考えて良い。
小線源は、非常に高い線量を照射できるため前立腺の癌はすべて死滅すると考えられるからです。
局所制御が完璧であるのに再発が起こりうる理由は以下です
■ 遠隔転移の可能性
治療開始前の時点で、微小な遠隔転移(骨転移やリンパ節転移など)が存在した場合、治療によって前立腺の癌が死滅するため一度PSAは大きく低下するが、時間経過とともにその転移細胞が出すPSAが増加しPSA再発に至る。
皆様は治療前に”画像検査で転移はない”とされたわけですが、現在の画像検査技術(骨シンチ、造影CT、造影MRIなど)に確実性はなく微小転移は見つからない場合が多い。
■ もう1つの可能性としては、精嚢浸潤、または前立腺付近のリンパ節転移の可能性がある。これらは症例も少なく特定が困難ですが、再発箇所がわかれば放射線によって救済治療が可能です。
遠隔転移やリンパ節転移があった場合は、どの治療法であっても再発はやむおえないものと考えられます。精嚢浸潤に対する対策は医療機関ごとに異なりますが、これもある程度しかたのないことです。
私のPSA推移を見ていただくとわかりますが、約1年間再発基準を超えたままPSAがリニアに上昇しています。しかし、この時私は「治療選択に間違いはない」と思っていましたから、PSA値のことなど気にせず過ごせました。他の患者さんの多くも、まあ岡本医師の治療にたどりついたんだから、結果はどうあれ受け止めようという方が多かったようです。
■ PSA再発が指摘された時点で、何か検査や投薬で先手を打つことはできないか
私は放射線治療医にこう相談しましたが、仮に「微小な遠隔転移」があったとしても、現在のPSA程度では小さすぎて通常の画像検査ではみつからないし、転移かどうかわからないのに投薬もできない。つまり、現時点でやれることはないとのことでした。
■ 結局のところ、心配しようが忘れていようが・・
現時点で先に手を打つこともできない以上、心配するだけ損、ということです。
治療法を決める時点で、最善の治療を選んだと言えるなら、PSAがどう変動しようとも、腹をくくって時を待つほかありません。
追記:2024年10月15日
放射線治療後のPSA再発「最低値+2」で判断
「放射線治療、とくに小線源療法にはバウンシングといって治療後PSAが一時的にピュッと上がる原因不明の現象があります。また、感染症などにより、一時的に急にPSAが上がる場合もあります。こうしたPSA上昇と本当の再発を見分けるため、以前は再発を『PSAが3回連続上昇すること』と定義していました。しかし、現在は『最低値+2』と定義しています」
監修:赤倉功一郎 東京厚生年金病院泌尿器科部長
→ PSA値が上下したからといって、一喜一憂してはいけない
前立腺がん治療におけるPSAとの上手な付き合い方 | がんサポート