ちょうどこのページを書いているとき、病棟内には流れるような音楽が聞こえてきました。これは病院の7時の面会時間終了を知らせるるものです。ドビュッシー-アラベスク第1番。とても安らぐ音色です。
さて本題、いよいよ小線源手術です。
手術日前日の午前中に入院するように言われています。シードの線量が低下してしまうため手術日の変更はできません。直前にかぜなどひかぬよう健康に留意しました。また、入院日当日に移動したのでは交通機関の乱れに対応できませんから、私は前日のうちに滋賀に向かいました。
滋賀医大病院 入院
当日は、近江八幡からJRで瀬田、瀬田からバスで滋賀医大に向かいました。小線源手術のための入院は泌尿器科病棟2Dです。
入院手続きが終わるまでしばらく2Dデイルームで待ちました。
入院初日
泌尿器科2Dの個室に4日間入院
放射線源を使うため個室です。琵琶湖に面した大きな窓が印象的ですが、二階なので眺めは良くありません。この日は個室の外に出られますが、明日からは放射線の管理のためこの部屋にずっと缶詰状態です。
人生初めての個室入院です。個室はいいですね、昼食をのんびりと食べながら、頭に浮かんだのは、ここまでたどりつくまでのあれこれです。治療法と医療機関を決めるのに全力を使いきった感があり、もう私にやれることは何もありません。明日に手術を控えていても、不安を感じることもなく穏やかな気持ちでした。
手術日前日は、ほとんどやることがありません、なんとも暇です。デイルームもがらんとして退屈なので、病棟6回の屋上に行ってみると、夕暮れの琵琶湖が見える良い眺めでした。
そう、少し恥ずかしかったのが看護師さんによって会陰部の除毛(※1)があったこと、前立腺癌と疑われてから何度もパンツを下げたりお尻を出したりくらいは慣れっこになっているし、”おやじ”ですから平気ではありますが、若い女性に会陰部をさらすのは、流石に恥ずかしいわけです。それから入浴し、18時に夕食が運ばれてきました。夕食はカラスガレイのすり身と重湯、たったこれだけでした。
夜は、大腸内視鏡検査でも飲まされるような下剤を飲み、便が透明になるまで室内にあるトイレに足を運びます。暇なのでLINEで話したりネットを見たりして過ごしていました。そうこうしているうちに眠くなって熟睡。
入院2日目
小線源手術
朝から再び浣腸で、腸内がきれいになっていることを確認してから着替えをし、手術室に向かうための準備を始めました。手術室にはT字帯をつけてくるように指示されています。当日は良い天気に恵まれ気分は爽快でしたが、やや緊張気味だったようで、写真からその雰囲気がわかるでしょうか。T字帯は実質「褌」ですから、もうまさに緊褌一番、気を引き締めて手術にのぞみます。
その後、看護師さんによって部屋で点滴を開始し、渡された血栓防止ストッキングを履いて準備完了。病院のパジャマを着たまま手術室へ歩いて向かいます。
泌尿器科2Dの個室
手術日の前日に医大付属病院2Dの泌尿器科に行きます。入院中はずっと個室のため、パソコン、スマホを使っても大丈夫です。LANケーブルを持参すればベットの脇にLAN差込口を使ってネットへの接続も可能です。手術後は部屋から出られなくなるので、デイルームにあるお茶を取りにいくこともできません。すべて看護師さんに頼むことになりますから、小型の水筒を持参します。手術に先立って用意するのは、T字帯とリフレという紙おむつ、どちらも1階のローソンにあります。手術前に血栓防止ストッキングもつけるのですが、これは手渡されます。
※1 会陰部の除毛
手術では会陰部からシードを挿入するため、看護師さんによって会陰部(ご存知とは思いますがタマと肛門のあいだ)の毛が剃られました。しかし小型のシェーバーのようなものを使うため、無精髭程度にしか剃られていません。ん~ん、ま問題ないのでしょう。尚、陰毛は剃られません、そのままです。
音楽は私を元気にさせてくれました
実は、がんと診断されたあと、しばらくは笑うことがほとんどなくなってしまいました。やはりショックは大きかったのです。そんな時、ふと思いついて、それまでまったく興味のなかったカラオケに行ってみました。歌ったのはBEGINの島人ぬ宝です。大声で歌ったら気分がすっきりしました。これには驚きました、がんと診断されたら寿司食ってカラオケにでも行ってください、きっと元気が出ます。
今回の入院では、がんと言われて随分経ってますから、落ち込むなどということはまったくないのですが、日常ではない空間にいるためか記憶に残る音楽がいくつかありました。