しばらくの間、更新をしていませんでしたが、これは仕事などで忙しかったためで、治療経過が良くないとかではありません。経過は順調です。
放射線治療後3年半頃から、数値は一気に低下
私のPSAの動向をご覧ください。
治療後は、1年半後にPSAが再発基準を超え、それから約20か月高い値が続くものの、治療後39ヶ月目にやっと再発基準を下回り、その後はなだらかにPSAが低下しています。この間はもちろん無治療、投薬なしです。
現在、放射線治療後9年目ですが、順調に数値は低下しPSA0.018になりました。 2024年 6月25日
治療前のPSA推移
PSA2.97と非常に低い値ながら、生検12本中陽性5本、悪性度は5本ともGS8という判定になったため、超高リスク前立腺癌とされた。このためLDRトリモダリティ必須という診断になり、初診時に内分泌治療を開始した。治療前のPSA最高値は3.50
PSAとテストステロン(TEST)の推移
2011年 5月12日 0.7 集団検診
2012年
2013年 8月17日 1.6 集団検診
2014年 6月16日 3.2 集団検診(要検査)— PSADT 10ヶ月 —
2014年 8月08日 2.978 癌告知 Tがんセンター
2014年 9月26日 3.300 Tがんセンター
2014年11月26日 3.501 滋賀医大 内分泌治療開始
2014年12月24日 0.286 Tがんセンター
2015年01月26日 0.321 Tがんセンター
放射腺治療後のPSA推移
放射線治療直後はPSA=0.007と非常に低い値ですが、これは放射線治療によるものではなく、そのほとんどが併用したホルモン治療薬の影響です。その後ホルモン治療薬の影響がほぼなくなったと思われる18ヶ月後には PSAが2ng/ml以上に上昇し定義上「PSA再発」とされました。その後30ヶ月後にはPSAが一時的に低下し再発取消しになるものの、33ヶ月目には再び上昇し2度目のPSA再発判定を受ける。
この18か月以上の高いPSA推移は、ホルモン治療薬の影響から脱して本来のPSAが現れるリカバリーと、PSAバウンス、治療による低下、という3つの要因があるため、定義上PSA再発とされても、真の再発かどうかは放射線治療医であってもこの推移からは判定できない。治療後39ヶ月にPSAの低下がみられたことで、ようやくこれらは再発によるものではない、という診断になった。
PSAの推移
2015年 3月24日 小線源治療
2015年 5月11日 外照射治療開始(6月15日迄)
2015年 9月16日 0.007 TEST 0.12 内分泌治療終了
2015年12月17日 0.010 TEST 0.10 治療後 6ヶ月
2016年 3月17日 0.030 TEST 0.16 治療後 9ヶ月
2016年 6月16日 0.199 TEST 2.48 治療後12ヶ月
↑ここまでのPSA値の低下は、併用したホルモン療法の影響
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2016年12月22日 2.353 TEST 5.40 治療後18ヶ月 PSA再発
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2017年 6月14日 2.771 TEST 4.16 治療後24ヶ月
2017年 9月20日 2.866 TEST ー 治療後27ヶ月
2017年12月27日 1.793 TEST 治療後30ヶ月 再発取消し
2018年 3月28日 2.066 TEST 治療後33ヶ月 PSA再発2
2018年 6月13日 2.550 治療後36ヶ月
2018年 9月12日 1.072 治療後39ヶ月 再発取消し2
↑PSA値の急な変動はここまでで、その後は順調に低下
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2019年 3月27日 0.531 治療後45ヶ月
2019年 6月12日 0.335 治療後4年
2019年 9月27日 0.324 治療後51ヶ月
2020年 3月06日 0.231 治療後57ヶ月
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2022年 6月 9日 0.119 治療後7年
2022年12月22日 0.080
2023年 6月29日 0.035 治療後8年
2023年12月21日 0.037
2024年 6月25日 0.018 治療後9年
2024年12月17日
”再発のない前立腺癌治療を目指す”ということ
いままでの前立腺癌治療は、自分の受けた治療で本当に根治できるのか?、という最も基本的なところに不安を感じ、治療後も何年間にもわたってPSAの動向に一喜一憂するということになりがちです。癌治療である以上、再発の不安を抱えての生活が普通だとお思いかもしれませんが、再発の不安を感じなくても済む治療もある、それが信頼できる医師によるLDR治療だと実感しています。
癌と言われて、現在検査をしている・・そんな状況でこのページを読んでいただいている方に再度聞いてほしいのは「最初の治療選択によってその後の全てが決まる」ということです。そして、治療選択の時に最も気にすべきことは最も「再発の可能性が低い治療」であるかどうかです。
”治療前に治療後の再発のことを考えるのはおかしい”と思いますか?。癌治療に再発はつきもの、治療後の再発は運次第だからしょうがないと思っていませんか?
なぜ、再発が起きるのか?
前立腺癌の再発とは何かについて簡単に考えてみましょう。言葉のイメージからは、手術や放射線により一度全ての癌細胞が消滅した後、また新たに小さな癌が発生すること、とお考えかもしれません。しかし、そんなことが数年で起きるとは思えませんから、これはまずないと考えていい。
再発は、治療によって全ての癌を消滅させられず、残った僅かな癌細胞が増殖してPSAに反映されたと考えられます。それが局所再発(前立腺部分)です。
摘出手術で局所再発が起きた場合は、手術で完全に癌細胞が取り切れていなかった場合です。悪性度が高く腫瘍が被膜外まで浸潤していた、膀胱括約筋近くにまで腫瘍があった、術者の技量が足りなかった、など原因はさまざまです。
放射線治療で局所再発が起きた場合は、放射線で全ての癌細胞を死滅させられなかった場合です。照射される線量が高いほど癌細胞が死滅する割合が高くなりますから、必要十分な高い線量を照射する必要があるのですが、周辺臓器への副作用を許容範囲に抑えなくてはならないため、それによって線量が制限され、一部の癌細胞が残存してしまった場合です。
治療後の局所再発は運などではない
手術も放射線治療も、髪の毛の先ほどのほんの僅かな癌細胞が残存していただけで、それがいずれ増殖し再発ということになります。これらのことから、いずれの場合も初回の治療を受けた時点で、その後に再発が起きるかどうかは、すでに決まっている、ということがおわかりでしょうか。
つまり治療後の局所再発は運などではないということ。治療後にいくら再発を予防するような努力をしたとしても、それは再発タイミングを遅らせる程度の効果しかないかもしれない。だから、初回に「再発の可能性が低い治療を受けること」、これこそが重要なのです。
治療後の遠隔転移による再発は運のようなもの
もう1つ、遠隔転移による再発は、治療開始前の画像診断では見つからないほど小さな転移が、治療開始時点ですでに骨などに存在した場合で、治療後に、その遠隔転移の癌細胞が増殖しPSA再発を引き起こした場合です。こちらは”運”のようなもので、防ぐことはできません。
もし今、転移がないかどうかの最終的な検査を受けている途中なら、生きた心地がしないかもしれませんが、PSAの10や20、グリソンスコア7や8程度では、高リスクとされた場合でも、めったに骨転移などあるものではないので、そう心配いりません。検査の結果「転移はみられない」という診断がくだったなら、遠隔転移のことなど気にしないことです。
なぜなら、さらなる検査で遠隔転移を探し求め、もし微小な骨転移でもあった場合は、その骨転移を含む前立腺癌の治療をすれば良いと思われるかもしれませんが、治療により1つの骨転移を消失させることができた場合でも、その後転移が多発することも少なくないため、通常は根治治療は困難だとしてホルモン治療を続けることになるのです。つまり、根治治療への道を塞ぐことになるわけですから、これでは何を望んで検査をしているのかわからなくなります。
また、今、検査中で、PSAが20や40、あるいは100を超えている方もいらっしゃるでしょう、その場合はグリソンスコアによって、全く病状が異なってくると予想されます。PSAが100を超えていてもグリソンスコアが7なら、転移はないかもしれないし、グリソンスコアが9や10であれば、PSAが20程度でも転移の可能性があるかもしれない。骨シンチで転移があると診断された方は、これから緊張感のある治療になるかもしれません、そのお気持ちを想像すると非常につらいですね。ここでは根治が可能な方に対する治療法について書いてきましたが、機会があれば再発や転移のある癌についても書くつもりです。